扉 八話
職員室に行くと先生たちの視線が一斉に 刺さった。
「すみません……やりすぎたので
指導部の山岸先生は……。」
恐る恐るそう言った。
「反省してるならえらいぞ~
それにしても小山内 すごくキレイだな~」
英語教科担任がそう言って笑った。
素直にさえしてれば怒られないんだと思った。
「これは休日にします。」
「そうしなさい。
山岸先生…は…ちょっと面談室に行ってみなさい。」
「はい。」
私は頭を下げて面談室に向かった。
彼は一時間目は授業のようだ。
面談室に近づくと声が聞こえて足を止めた。
「最近…冷たいわよね…。」山岸先生の声
「そっか~そんなことはないけどな~」
一瞬息を飲んだ。
「週末泊まりに来てよ。
この間だってあんなに飲んだのに家に帰っちゃって」
「ネコを飼ったんだよね。」
「ネコ?私も見たいわ。」不審に満ちた声
「俺は女の人は家に呼ばない主義って言ったよね。」
彼のの声は冷たい声だった。
「ごめんなさい…わかってるわ…
ただ…会いたくて……
キスしてほしくて……」
「勤務中にそういう話しするなよ。」
「ごめんなさい・・・」
山岸先生と……付き合ってるんだ……。
頭を殴られた気分だった。
それから何も聞こえなくなって私はすごく心配になった。
思いっきり大きくノックした。
もし二人がここで何かしてるなら阻止しないと
「はい・・・」山岸先生の声がした。
「一年一組の 小山内です・・・・。」
きっと彼も 動揺してるだろう……。
「すみません~」思いっきり明るくドアを開けた。
山岸先生の向かい側に 背中側を見せて
彼が座っていた。
「あら…あら…私見逃したのかしら。」
「すみません、やりすぎでした。
明日からちゃんとしてきます。」
彼が振り返って 目があった。
心臓がドクンとして頬が熱くなった。
初めて彼を男何だって思った。
他の人を愛しながら……違う人を抱きしめる。
私と山岸先生は同じ立場………。
彼が立ち上がった。
「その格好を見逃すわけにはいかないから
今日は家に帰りなさい。」
そういうとまた背中を向けた。
バカ!!!バカ!!!バ~~カ!!!
言いたいことは山ほどあった。
今だって 山岸先生のこと知って 私は壊れてしまいそうなのに
冷たい顔の一言で……
もっと私を見てよ!!!
「…だって…厳しいけど明日はちゃんとしてきてね。」
気の毒そうに山岸先生が言った。
泣きそうになったのは…
帰れって言われたことじゃない……
彼の心が掴めないから……。