扉 六話
いつもの登校風景で違うことは一つ
人の視線 特に男の視線はいつもとは全く違った。
「ヒュー!!!」
口笛が聞こえる。
「H高にあんな子いるんだ?」
「すげーかわいい~~」 聞こえてくる言葉は 今まで縁もゆかりもない言葉
今までは お高くとまって 頭よさそう 冷たそう とか
そんな感じだったけど……
これからは違うんだ。
そう思うだけで楽しくなる ウキウキする 。
「志摩ちゃん~おはよ~」
前を歩いていた志摩ちゃんに声をかける。
一瞬振り向いて 志摩ちゃんはまた前を向いた。
「志摩ちゃんったら~おはよって言ってんじゃん~」
志摩ちゃんは怪訝な顔で一瞬考えて
「え・・・?えぇ~~!?め…めぐ~~~!!??」
志摩ちゃんは目を白黒させて バタバタしてる。
「うわ~大人っぽいから誰だかわかんなかった。
どうしたの?髪の毛切ったの!?」
「うふふ・・・思い切ってバッサリ似合う?」
「うん!!似合うけど全然違う人なんだもん。
めっちゃ大人~眉毛もイジッたん?」
「志摩ちゃんが毛抜きって言ってたから頑張ったよ~。」
「ちょっと赤くなってる~」志摩ちゃんが笑った。
「そんなに違う人に見える?」
「見えるよ~少なくてもうちの学校にはそんなにいないかな~
めぐはさ~髪の毛が茶色いからそういう髪の毛にしたら
ちょっと不良っぽく見えるんだわ。
いつも髪の毛束ねてたから全然違うもん。」
「よかった~」私が言うと志摩ちゃんが
「何がよかったの?」と目を丸くした。
「私 今日から生まれ変わるの……。
今まで無駄に生きて来たような気がするから
親の言いなりで親にかわいがられようとかで
ちょっといい子になりすぎてたから~~」
「あ~反抗期なのね~~~。
そうだそうだ反抗期だ~~~~。」
志摩ちゃんが私の手をとって走り出した。
「さ~~このスタイルで正門つきやぶれっかな~
本日の生活指導は…うわ…二年の山岸Tじゃん~
めぐ~頑張れ~~~」
新生 小山内 恵美
こんなことでへこたられないよ~
志摩ちゃんとどさくさにまぎれて正門に飛び込んだ。