四話
なんでよりによって 一番前とか・・・・最悪だよ・・・・。
ゴリラにもう名前覚えられたし……
それに一組だから……
吹奏楽部の演奏が流れた。
誰も来てないけどドキドキしてる。
「一組が入場します。」アナウンスが聞こえた。
扉が開いて 体育館のステージが視界に入る。
深呼吸して 会場に入っていった。
その時だった・・・・。
吸い寄せられるように 私の 視線が一人の若い先生に集中した。
それに気づいた先生と目が合った。
なんで・・・・?
どうして私は あの先生のこと見てるんだろう……。
私の視線はそこから動けなくなっている。
きっとあの人 私がおかしな生徒だって思ってるよ…
でもぶつかった視線は なぜか先生の視線もとまったままだった。
行進して進んで行っても
私と先生の視線は 絡みついている。
誰?あの先生 知ってる人?
いや…知らない…全然知らないもん
私と彼の時間が 止まった。
彼は 先生だった。
そして私の初恋の人になった。
魔法にかけられたように 一瞬にして私の心の中に
彼が住み着いた。
なんで…全然知らない人なのに……。
担任のゴリラがクラスの生徒の名前を
呼び始めた。
そして
「小山内 恵美」
私は席を立って
「はい」と立ち上がった。
彼の視線を一身に受けながら………
心臓がキュンとして 私は思わず胸をおさえた。
まさか…先生に恋をするなんて
私の高校生活のプランには出てきてない………。
彼のこと…知りたい……
私と先生の視線は まだ 絡み合っていた・・・・・・。