不安 七話
彼に言われたように バスに乗り換えて彼の家に向かった。
行ったら 迷惑がるだろうか……
それが怖かったけど……
おねえちゃんの愛が 私の背中を押してくれた気がした。
私は絶対に 好きな人と結ばれるんだ
昨日そう誓った。
おねえちゃんみたいに 愛されたい……
私だって愛されたいもん……
パパとママに反対されたって絶対戦うわ……。
私は彼の家の前に立っていた。
日曜日の朝……彼はまだ寝てるかも知れない……
鍵を出して鍵穴にいれた。
カシャッ
音がして思わずドキンとした。
泥棒になった気分……
わざとに大きな声で言った。
「おじゃましま~~~す」
部屋は薄暗い
まだ彼は眠っているんだ。
螺旋階段を登って 寝室を探した。
この間キスした書斎のパソコンの部屋……。
隣のドアを静かに開けたら ゲストルームのようだった。
それから一番奥のドアを開けた。
部屋薄暗く 耳を澄ますと寝息が聞こえた。
スーーー スーーー
足元に気をつけながら ベットに近づいた。
愛しい人の寝顔・・・・穏やかで死んでいるのかと
思うくらい口一つ空いてない……
キレイな寝顔……
私はその高い鼻の先にキスをした。
「ん………」彼が寝返りをうってこっち側を見た。
「こんた…来たよ…起きて…こんた……」
私がそう言ったら 彼が私を押し倒した……
「こんた…会いたかったよ……」
私はこんたの顎先にキスをした。
「ん・・・・な…」こんたが寝ぼけた声で何かを言いかけた。
「何?こんた……」
その唇をふさいだら お酒の匂いがした。
昨日 飲んだんだね……。
こんたの腕の力がこもった。
「なっち……夢か……夢だよな……
まだ酔っ払ってんだな……」
心臓が凍りついた。
彼は そう言ったかと思うと また寝息を立てた。
なっちって…誰?
彼の寝顔を見つめながら……凍りついた心に不安が住み着いた。