不安 六話
部屋に入って 手紙の残骸を出した。
何が書いてるんだろう…
三分の一だけは間に合わなくて燃えてしまった。
読んでいいよね……
ドキドキしながら白い封筒から カードを引き出した。
『二人が消えて 何度目の秋だろう……。
俺の時間は あの日のまま 止まっているよ。
俺はいつ君たちのいる場所へたどりつけるのだろう…
もうすこし…もうすこしで…
俺の終着駅が見えてくるから……
それまで二人で俺の留守を守っていてほしい…
千夏&葵 へ
その下は燃えて何が書いているのかわからなかった。
読み終わって 私は自然に涙が流れていた。
そしてもうひとつ真実を知ってしまった。
おねえちゃんは一人で死んだんじゃない……。
おねえちゃんの お腹の中には赤ちゃんがいた……。
葵という名は 二人の子供の名前
可哀そうに……
赤ちゃんは闇に葬られてしまっていた。
この真実を知ったのも何か意味のあることかもしれない…。
仏壇に行って 遺影の写真の裏側に こんた からの手紙を入れた。
「おねえちゃん…こんたが来てくれたよ。
それから…これからは私が 二人の赤ちゃんの分も
お参りしてあげるからね……。
葵ちゃん…いい名前だね……。」
私は葵の分に 紙パックのジュースを一つおいて手を合わせた。
「パパとママの気持ちもわからなくはないけれど
ちょっとひどいね。」
「明日 私も会いに行ってくる……。
勇気を出して ぶつかってくるね…。
好きな人と一緒にいたいもん……。」
おねえちゃんの机の上に
さっき もいできた
こんたが持ってきてくれた アイスバーグの花を一輪ざしに飾った。