不安 四話
おねえちゃんのお墓に向かって走って行った。
「あれ~!?」
私はおねえちゃんのお墓が見えたところで
足が止まった。
「どうした?」パパが言ったから私は 指をさした。
「誰か来たんだよ。」
おねえちゃんのお墓に花束が置かれて 線香が煙っている。
「今 来たのかな。」私は周りをキョロキョロした。
お墓に近づいて驚いた。
豪華なアイスバーグの花束が置かれてて
おねえちゃんの好きなスナック菓子とパインジュース
それから手紙が置かれていた。
私がその手紙を 手にしようとした瞬間
ママがその手紙を握りつぶした。
「あ~ママ 何で?」
パパが美しく咲いている花束とスナック菓子と
パインジュースを乱暴に持ち上げて歩き出した。
私が呆気にとられていると ママが手早くお墓に静かに水をかけた。
煙っていた線香に水が直撃して
パパが鬼のような顔で手に何も持たずに戻ってきた。
「あれ?さっきのお花 まだまだキレイだったよ。
うちの花束より高いよ。」
入り口のゴミ箱に投げ捨てたのだ。
ひどい……
うちから持ってきたものを飾り ろうそくに火をつけて線香に火をつけた。
「お花ちょうだい。」ママが私から花を乱暴に奪って
お墓の上に置いた。
何が何だかわからずに私は呆気にとられるだけだった。
「あいつ…また……」パパが低い声で唸った。
「死んでからも千夏に…つきまとって…
絶対に許さない……」
そういうとポケットからさっきの手紙を出して
ライターで火をつけて捨てて パパとまたお墓に向かって
ブツブツと言っている。
「あ!!!」私は燃え上がる手紙を咄嗟に足で消してかくした。
大事な手紙なような気がした。
おねえちゃんに渡さないと……。
「さっきのバイク…あいつだったんじゃない?」
「俺もそう思う。通り過ぎた時 まさかと思ったが…」
あいつ?
「あいつに千夏を殺されたんだ。」パパの言葉に
おねえちゃんの こんたが来ていたんだと確信した。
そしてさっきのバイクは…こんた だったんだ……
バイクは一瞬しか見ていない……。
両親によって こんたとおねえちゃんがまた 踏みにじられたような気がした。
お参りが終わって墓をでて霊園を歩き出した。
「あ!?ない!?」私はポケットをさぐるようにして
ママが
「どうしたの?」って言ったから
「勉強用にもってきたプリント…落としてきた。
ちょっと戻って見てくるね。」
「早くね。」
「はい、先に歩いていてね。」
私は来た道を走りだして 父が捨てたゴミ箱の中から
こんたが持ってきた花束とお菓子とジュースをまた
おねえちゃんのお墓に飾ってあげた。
それからさっきの手紙の残骸をひろって焦げカスを静かにほろって
お墓におこうとしたけど
それをポケットにしまい込んだ。
「仏壇で読んであげるから。」
そう言ったけど 中身にすごく興味があった。
こんたの持ってきた白い花束から 花をひとつもいでポケットにまた入れた。
「おねえちゃんのこんただって」
お墓に手を合わせた。