不安 一話
何もする気にならなくなった。
ため息ばかり…志摩ちゃんがそんな私を笑う。
「めぐ・・・これで記録更新したよ~」
「え?何の?」 私が頬杖をつきながら志摩ちゃんを見ると
志摩ちゃんは威張って
「めぐのため息 30分で10回だよ。さっきは7回だったから~」
と大きな声で言ったから
クラス中が笑った。
「や~ね~数えてたの!?」
「だって~耳につくのよ~ため息が~」
志摩ちゃんが笑った。
「あ…そっか~~ごめん~気つけるわ~」
そう言っても体中から力が抜けたように机に伏した。
「ど~したの~」志摩ちゃんが私を揺さぶった。
「~なんかさ~~生きてる意味を探せない~」
私の嘆きに志摩ちゃんが
「そんなこと言ってたらダメだよ。
生きてれば答えは見つかるわよ。」 と大きな手ぶりで言ったから
私はおかしくて爆笑した。
志摩ちゃんの明るさに学校では 助けられてる……。
彼は三年の担任だから 学校ではそんなに会うことはなかった。
会いたいけど… 会えない…
会えないけど 会いたい
あの日から一カ月…いつしか夏休みも終わり・・・もうすぐ秋が近づいてきてる。
『いつでも おいで』
彼はそう言ってくれたけど
鍵を見つめるだけで…勇気が出ない……。
彼との距離がどんどん広がっていく気がした。
どうしたらいいの?
幸せだった心の中に 不安が入ってきて どんどん大きくなっていく…
その不安はとうとう私の中の幸せを全部食べつくしてしまった。