甘い時 六話
車庫に入ったバイクから彼が先に降りて
私を抱き上げて下ろしてくれた。
彼がヘルメットをぬいで 私のヘルメットをとってくれた。
「ずいぶん 後で騒いでたね?」
彼が私の乱れた髪の毛を撫ぜてくれた。
「あ…ヤダ…聞こえてたの?」
恥ずかしくなって思わずうつむいた。
「そんなに俺のこと好きかい?」
私は首を縦にブンブンと振った。
クスクスと彼が笑う。
「だって…ずっと会いたくて…死にそうだったもん……」
ここで放置プレイの恨みごとを晴らす。
彼の指がスーッと唇に降りてきて止まった。
「学校ではやっとお利口さんになってきたけど
さっきは信号無視したよな。」
「そ…それは こんたくんが…慌てさせるから…」
私は慌ててそう答えた。
「ご褒美は一つ 減点だよ。」
「エ!?ダメ~ダメです!!」
彼は爆笑した。
「可愛いな~恵美は素直で・・・・
汚れてなくて……」
そう言うと車庫の中で甘い甘~い ご褒美をくれた。
彼の冷たい唇は 何かの生き物のように
私の唇で動き出す。
そしてそのうち私の唇の熱さと同化してゆく……。
キスって気持ちいいんだ……
彼のキスを必死に受ける私……
幸せ……
彼の唇が離れると 思わず私は大胆にも
自分から求めていった。
自分が自分じゃない 魔法にかけられていくようだった。
下手なキスをして 唇を離す。
「恵美…?」彼の優しい声……
「こんたに会うたびに 見えない魔法にかけられて…
自分でもびっくりしちゃう……
私 どうなっちゃってんだろ……。」
恥ずかしくてうつむいた。
「そういう恵美も…可愛くて大好きだよ。」
彼の言葉に嬉しくなる……。
「こんたは…魔法使いなの?」
「魔法使い?どうかな~~・・・・」
抱きあげられて またキスをした。
甘い甘い 二人の時間が流れていく・・・・・。