繋がれる手 五話
「初音さん!?一体…どうしたの?
あれ?彼は?どこに行ったの?」
「溝端さんはちょっと御用ができたので
私が変わりに……おじょうさま目を開けられたんですね。
それではお出かけしましょう…」
「え?ちょ…待って…
彼は?どこにいるの?」
私は慌てて陽之介を目で探す。
「すぐにお会いできますから。
参りましょう~」
初音に手を引かれて外に出るとホテルの車が待っていた。
何が何だかわからなくて
ホテルに連れていかれて
大きなお部屋に入れられた。
「初音さん・・・何?どうしたの?」
「大丈夫ですって……。
おじょうさま…おめでとうございます。」
初音がそう言うとハンカチで
目がしらをおさえた。
「何が?何言ってんの?」
私は頭が真っ白だった。
その真っ白な頭の中に飛び込んできたのは
真っ白なウエディングドレスだった。
「え・・・・!?うっそ~~ぉ!?」
それから何が何だか考える暇もなく
たくさんの人数の人が現れて私は人形のように
されるがままになっていた。
ドレスを着せられて
状況がわかってきた。
「もしかして・・・?」
初音を振りかえると初音はハンカチで涙をふきながら
うん うん とうなずい。
そして大きな鏡を私の前に持ってきた。
鏡の中にいるのは
真っ白な豪華なドレスに身を包んだ
美しい私だった・・・・・。
「あ……私?」
「おキレイですよ・・・・。
お人形見たいですね・・・・。」
そばにいる人たちが口ぐちにそう言ってくれた。
「溝端さんもまた好きになってくれますよ。」
汚れた私には絶対に似合わないと思っていた
「うっそ・・・・」私は両手で口をおさえた。
本当にキレイだった。
自分で言うのもおかしいけど……
すごく美しい私が立っていた。
「恵美・・・・」
鏡の視界の中に愛する人が立っていた。
真っ白なタキシードに身をつつんだ
陽之介は
王子さまに見えた。
「バカ…何にも言ってくれないから…
ビックリしたよ……。」
私の声は涙声になっていた。
「迎えに参りました」陽之介が車いすを私の隣においた。
「めっちゃ…めっちゃキレイだよ。
今まで見たものの中で一番…キレイだよ。」
その言葉に涙がポロリと落ちた。