繋がれる手 一話
今日の夢も怖くなかった。
陽之介が一緒にいてくれるようになって
私は不思議なことに悪夢から解放された。
目が覚めると
下の寝づらそうな簡易ベットで片足出して寝ている。
昨日PCにメールがきていたのを後から見てしまった。
早く戻ってきてほしいというメールだった。
陽之介がなんて送ったのかは
わからないけれど
ずいぶんここに足止めさせていた。
まだ私は一緒について行けるほどの
体力は戻ってなくて
今までだらけていた体は
筋肉が落ちて
簡単にできたことができなくなっている。
リハビリを頑張りましょう
主治医に言われて 陽之介も一緒になって
付き合ってくれていた。
幸せだよ・・・・・。
愛する人がいつも手の届くところにいる
「陽之介・・・・」
「ん?」
「呼んでみただけ……」
「なんだ~~ぁ~」陽之介が笑う。
以前の冷たさは今の 彼にはなかった。
彼の冷たさは私を排除しようとしていたからだったのかな……。
「私は大丈夫だから…一度戻ってみたら?」
本当は言いたくなかったけど
大人になってそう言った。
陽之介は驚いた顔をしたけど
「恵美と離れたくない……。」と言った。
私もだよ……。
「でも…向こうで子供たち待ってるんでしょ?」
陽之介の顔が曇った。
「だけど…もう恵美を置いていきたくない。
気には…なってるけれど……
今 俺の一番大切なものは恵美だから……。」
嬉しかった。
陽之介の胸に顔を埋めた。
「早く元気になろう……。」
陽之介の大きな手が私の頭を撫ぜてくれた。
満ち足りた時間
愛する人からの愛の言葉が一杯で
私は生きる気力を取り戻して
生きたい
と思うようになってきた。
早く一緒に 陽之介の大事な仕事場を見たい
だけどなかなか体力は簡単には戻らなかった。
焦る私に
陽之介が優しく囁く……。
「大丈夫だよ…きっと元気になるよ…」
陽之介の愛に抱かれて
心も体も少しづつ回復していった。