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激愛  作者: Lavia
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欠けた心 十話

木々が真っ赤に染まる霊園を恵美の歩幅に合わせて

ゆっくり歩いた。


少しづつリハビリを初めて

最近やっと少し歩けるようになったが

まだ本調子でじゃないのと足の筋力がおちていて

少し歩くだけで疲れてしまい

ゆっくりと歩いては少し休んでを

繰り返しながら



千夏の墓についた。

来る途中で花束を二つ買った。



千夏の好きだった白いアイスバーグを

恵美が飾って

もうひとつの花束を足元においた。


 入れ忘れたのかな



俺は墓石をきれいなタオルでふいた。



二人で揃って手を合わせた。



「千夏…千夏はこれを望んでいたんだよな……。

これが正解でいいんだよな……。」




俺は恵美の肩を引き寄せて



「恵美を愛してるよ……。」と言った。




恵美は俺の横顔を見ていたけど



「幸せになってもいい?」と千夏に聞いた。



俺はとてもおだやかな気持ちになっていた。



きっと千夏は喜んでくれている

それが勝手な解釈でも自分勝手な思い込みでも

なんでもいいんだ。




それから


「ここに…進…のお墓があるの。

一緒に行ってくれる?」


恵美はそう言った。



そして千夏の墓より奥のほうを指差して

「進にも…伝えたい……。」



そう言った。



もうひとつの花束を抱えて

恵美はゆっくり歩き出した。




俺はその後をついていった。



そして奥の墓の前で恵美が立ち止った。



「進・・・・私がずっとずっと

忘れられなかった人だよ……。

私も幸せになってもいい?進を追い詰めたのに…

私だけ幸せになっていい?」



恵美の体がブルブルと震えた。



「進を愛せなくてごめんなさい……。

私は…彼のことずっとずっと好きだったの……。

切なくて泣いてばかりいたけど……いい?」



そう言うと泣き出した。



「進の血の味を忘れないわ………。

ずっと夢の中に出てきて…怖くて眠れなかったけど

最近ね…笑ってる夢を見るの……。

進もいたよ……。

青い空の夢……。

私も希望を持って生きていいよね……。」



俺は涙をぽろぽろこぼす恵美を抱き寄せた。




「こんなに…こんなになるまで

悩み思い続けてきたんだ。

きっとわかってくれているよ……。」



俺は進の墓に手を合わせた。



  俺が幸せにするから・・・・・

  もう…許してくれ

  すべての責任は俺なんだ………。




二人の墓を後にして・・・・俺は恵美にこの言葉を言った。




「俺についてきてほしい……。

早く元気になって 一緒に暮らそう……。

恵美に見せたいものがたくさんあるんだ……。

ここよりもっと青い空と……

純真無垢な子供たちの笑顔

それから手が届きそうな星の海………。

だけど…環境がいいとは言えないから……

早く元気になれ……。」




恵美の目がキラキラと光っていた。




「はい・・・・。

もう絶対・・・離れません……。」




俺は恵美を強く抱きしめた。



  もうけっして 間違えない・・・・・。



やっと俺たちの運命のレールが重なったんだから………。

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