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激愛  作者: Lavia
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欠けた心 一話

「先生…輝いてるよ……。」



俺は病院を振り返りながら 夜の街を歩いた。



恵美と偶然に千夏の墓のそばで会った時

俺は千夏が

俺に何かを求めているんだと思った。




恵美は俺を見て 半狂乱になった。




ショックだった。

太陽のように明るく元気だった恵美の

変わり果てた姿に茫然とした



俺がいない間に何があったのか……。




俺を拒否する恵美



でもどうしても・・・・恵美の様子が気になった。




「あの…・以前…お目にかかりましたか?」

後にいた女の人に声をかけられた。



「あ…病院で……」見覚えのある顔に頭をさげた。



俺はその人に連絡先を書いて

「時間がある時 お話を聞きたいんです・・・・。」



その人は

「喜んで」と品よく笑った。



それから数日後 連絡をもらって話しを聞くことができた。

その人の名前は初音さん



「先生?でしたよね?」



「当時はそうでした。今は海外の教育復興のために

日本を離れてましたが今回は活動報告のために

戻っていました、」




「まぁ素晴らしいお仕事ですね。」




「あの…恵美さん…病気なんですか…?」




「そうですね…心の病…が体よりも悪くて……

いつ死んでもおかしくない状態です……。」


初音さんの話しを聞いて俺の心は

悲鳴をあげた……。




「今は…生きる気力を失くして 食事もしない

何かがしたいという気力もない…死なせてくれと泣くばかりです。」




「そんなことが……」

恵美にあった惨状を想像しただけで俺はたまらなくなった。



「あの……聞きずらいことなんですけど…

先生はもしかしたら…こんたさんでは…ないですか?」




俺は動揺して持っていたカップを落としそうになった。



「俺を…知ってるんですか?」




「あ…やっぱり…恵美おじょうさまに取り乱し方が

普通じゃなかったし…あの時お見舞いに来てくれた時も

もしかしたら……と思ってました。

おじょうさまは…小さい頃からって言っても

本人の記憶に残る前からあなたが好きでいらしたんですよ。」



「俺が知ってる恵美は

最初はヨチヨチ歩きで・・・・最後に会ったのは

小学校に上がる前だったから……」



「最後の頃は断片的な記憶はあるようでしたけど

千夏さまがため息をつくくらいでした。

こんたに弟がいたらよかったなって……

めぐは可愛いけど こんただけはあげられないから……

お小さい頃は愛らしかったですが

今では想いつめられて空回りしている気がします。」




「そうだったんですか……」



初音は寂しそうに言った。



「恵美おじょうさまを…助けて下さい…。

きっとあなた以外の人には無理だと思います。

あそこで二人を合わせてくれたのは

きっと千夏おじょうさまだと思います……。

あなたに会わなければ…

おじょうさまは間違いなく死に近づいたと思います……。

まだ忘れらてません……。

あなた以外の人を愛せなくて…

進さんを自殺に追い込んだのかもしれない……

きっとおじょうさまは

そんな責任を自分に押し付けているんだと思います……」




「俺のせいです・・・・。」




「誰のせいでもありません。

人の心なんて一人一人違うのですから

ただ…ここで再会したことが何かの意味を持つとしたら

どうか救ってください……。

私はどんなことにも手を貸します・・・・。

じゃないと間違いなく

恵美おじょうさまは死にます……。

千夏おじょうさまには愛がたくさんありました……。

でも恵美おじょうさまには想う欠けた心しかないのです……。」




初音さんは何度も俺に頭をさげて


「助けて下さい」そう言った。

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