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激愛  作者: Lavia
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さまよう心 九話

「言ってることわかんないの?帰ってって言ってんの。」



布団をすっぽりかぶって私は大声を出した。



「恵美が寝るまでいるよ。

寝たら帰るから・・・・・。」




「今 起きたばっかりだから・・・

いいの…。帰って下さい……。」



悲しかった。

会いたかった人がすぐ手の届くところにいるのに

もう一人の私が


これ以上惨めになりたいの?と問いかける。



静かな時が流れる。

私は布団から少しすきまを作って彼を盗み見た。




 

  ????



彼の姿はなかった。




  あ…帰っちゃったんだ……



ものすごいガッカリして泣きそうになった。

  


  もう二度と会いに来てくれないかもしれない…



こんなにこんなに愛してるのに……



でもわかったんだ。

私が彼を愛すると彼が不幸になるってこと・・・・。




今 彼が輝いているならその輝きを奪うようなことはしたくないから・・・・




私は幸せになっちゃいけないけど

彼が来てくれただけでも・・・・

顔を見れただけでも・・・



私に触れてくれただけでも…幸せ……だから…




涙が流れた・・・・・。




  愛してるよ…あなたしか愛せないけど……

  あなたに愛される資格がないから……



生きる気力もなかったのに…彼に会ったら

切なくてもときめいて



そして心が一つになった。




私の欠けた心はきっとすぐに彼を見つけて

彼に寄り添っていたんだと信じてる………。



しばらく泣いて…




嗚咽がおさまったら大きな深呼吸をした。




「ふーーーーっ」体もブルッと震えた。



それから私は布団から顔を出して 外の空気を吸った。



  大丈夫だよ…彼の顔だけでも見られてよかった……

  それだけでも……幸せだったから……




顔を出して フッと人の気配を感じた。



驚いて振り向くと 窓のところで彼が私を見ていた。




「あ・・・・な…な…んで……?」私は驚いて手を口に当てた。





彼がゆっくり私の方に向かって歩いてきた。



私は首を振った。

彼が接近してきたら 姿が見えなくなるくらい首を振った。



嗚咽を必死に手でおさえた。




次の瞬間・・・・彼の胸の中に私はいた。




厚い胸板が 私の想いを全部引き受けてくれた気がした。



「帰って…って…言ったの…に……。」




私の涙は彼の逞しい胸に溶けて消えた。



  


会いたかった・・・・・彼に抱きしめてもらうこの瞬間を

ずっとずっと夢に見てきたから……



今だけ・・・今だけ・・・

この愛する人の胸の中で幸せをかみしめていいですか?



この胸から離れたら



もう彼を求めたりしないから・・・・・・。



愛する人の 逞しい胸の中で・・・・

私はつかのまの幸せな夢を見ていた・・・・・。

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