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激愛  作者: Lavia
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さまよう心 三話

ヒロトの言葉通り その日から悪夢は少しづつおさまった。


その反対に今度押し寄せたのは

私が進を追い詰めたという 罪悪感だった。



おねえちゃん死の原因も

進の自殺も



彼の人生をめちゃくちゃにしたのも私



今度は恐ろしい夢から

自分のせいで死んでしまった怖さに変わっていった。




私のせいなんだ…その答えしか今は見つからなかった。



進の墓参りに行きたい

そう言うと母がオーナーに連絡を取ってくれて



彼の墓参りにいくことにした。



「大丈夫?ママついていかなくても…」

母が心配そうに言った。



「大丈夫よ。初音さんがいるもん……。

それよりもう仕事に戻っていいよ。

でも早くだけ…帰ってきて……。」夜が怖かった。



一人でいる暗闇が恐ろしくてたまらなかった。



仕事で来れなかった母に変わって

初音さんと会社の人二人と進の墓参りに行った。




墓はおねえちゃんと同じ霊園だった。

私は車イスに乗って

霊園の中を散歩がてらあるいた。



「お天気いいですね~」初音さんが言った。



「おねえちゃんのお墓も……」



「そうですね。おねえさまもよろこびますよ。」  




そして偶然にも同じ入り口の一番左奥が進の墓だった。




進の墓に美しい花を飾って 好きだったビールを置いて

手を合わせた。




  ごめんね・・・・




「私ね…他の人を愛せないから……

私の愛する人は…一人だけなの・・・・・。

許してね……進がそんなに辛い思いしてるなんて

思ってもいなかったよ。ごめん……

いつも一緒にいたら楽しくて…笑ってばっかりいたから……

ひどいことして…ごめんね…」



あの日の進の言葉を思い出した。




「ごめんなさい・・・・」


私は耐えきれず涙が流れた。




慌てて初音さんが駆け寄ってきて



「帰りましょ・・・また会いに来てあげましょうね…」



子供をあやすように私の髪の毛を撫ぜた。




初音さんが車いすを押していると 急に車いすが動かなくなって



「あら…ちょっと…何……」



私は車いすから立ち上がる力もなくて



「車に行って会社の人呼んできます。」と言った。




「どうかしたんですか?」


はつらつとした明るい声が聞こえた。



「あ…急に動かなくなって……」初音さんが説明していたら



その人が車輪のところを見てくれて

「これ…壊れてますね。」と言った。




「あ…どうしましょう…あの…駐車場に人がいるので

すぐに呼んできますから…すみませんがその間…ちょっと

見ててもらえますか?」




「いいですよ。」その人は言った。




「おじょうさま すぐ戻りますからね。」

初音さんが小走りに駐車場に向かって走っていった。



「寒くないですか?」その人ははおっていたパーカーを

私の膝にかけてくれて




私はやっと顔をあげて…その人の顔を見つめた。



浅黒い肌に くしゃくしゃな髪の毛

そして白い歯



体のがっちりとした人・・・・・。




「・・・・ぐ・・・み・・・・?」




空耳か私の名前を呼んだ気がした。

むこう側にあるおねえちゃんのお墓には 美しいアイスバーグが飾ってあった。




  誰か…来たんだ……

こんな時期外れに 誰が来たんだろう……。




「恵美・・・・?」


私はゆっくりとその人の方に顔を向けた。




「あ・・・・・・・・」



時が・・・・・・時が・・・・止まった・・・・・。                                                                                      

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