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激愛  作者: Lavia
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さまよう心 ニ話

「やだ・・・・先生・・・注射しないで・・・

寝たくないもん……やめて……。」


睡眠を怖がる私は

食事も取れずぐっすり眠ることもできず

精神的に追い詰められていた。




目の下には黒くかわったクマができて

寝ることが怖くて仕方がなかった。



「少しぐっすり眠りなさい……。」




「寝たくない…怖いから……」




注射はそんな私をすぐに闇の中に引きずり込む。



悪夢が始まっても薬で眠らされたら

どんににあがいても夢からは逃れない



目が覚めて夢の内容を覚えてなくても

体全身の疲労感が

きっと悪夢におそわれていたことを教えてくれる。



このトラウマはいつまで続くんだろう




カウンセリングと精神的な治療を繰り返して

それでこのトラウマは私を解放してくれるのだろうか…




外科的な治療も住み

家からの通院に変わった。




たまには違う夢も見れるようにはなったけど

悪夢を見た朝は


全身にひどい汗をかいて

飛び起きて頬には冷や汗と涙の後が残っていた。




「助けてよぉぉ・・・・・・」




私は泣きわめいた。




それからしばらくしてオーナーが進の同僚を連れてきた。



私も何度か進を交えて会ったことのある顔だった。




「大丈夫ですか?」ヒロトは私の変わり果てた姿に一瞬

驚いた顔をしたけれど ホスト笑顔を作って私の横に座った。



「ヒロトは進のこと詳しく知ってたから

少しでも状況聞いた方が杏樹も気が楽になるんじゃないかと思って。」



「わざわざありがとう……。」




「大変でしたね…。

杏樹さんをこんな目に合わせて……

やっぱアイツ普通じゃなかったから……

いつものアイツだったら こんなことに杏樹さんを

巻き込まなかったと思います。

杏樹さんのまえではアイツ誰よりも演技してたから……」



「演技?」




「かっこいい男を必死で演じてた・・・・。

嫌われたくない…めぐがいない人生なんて考えられないって…」




「じゃあ私の前にいた進はほんとの進じゃなかった?」



「ほんとのっていうか・・・

必死で頑張ってた……杏樹さんとの距離を持つことを

俺だけのめぐにしたいという独占欲とか

俺だけを愛してほしいって言う願望を アイツは必死に隠していた。」




私は目を閉じてあの日

進が私に言ったことを思い出していた。



「愛してる…って最後に言った……」




「うん…その言葉を必死で隠していたから……」




「でも自分も束縛されたくないって言って 遊んでたよ……」




「それはその願望を埋めるためには仕方がなかった。

自分も辛くて杏樹さん以上に愛せる女を探してたんだと思う。

この辛さから逃げ出したい

そう言ってたから………」




私は進をそこまで追い詰めていたんだ。



「そんな時に出会ったのが 今回進がのめりこんだ女

杏樹さんに少し似てたんだ

初めて店に来た時 俺たちもそう思った。

瞳というその女に 進はきっと杏樹さんを重ねたんだと思う。

瞳はそんな進の心の隙に入りこんで

いいように進をコントロールしたんだと思う……。」



「警察の調べで 進から覚せい剤の反応も出たということで

その女の周辺を調べて 逮捕したらしい……」

オーナーが静かにそう言った。



「覚せい剤・・・・」




「だからアイツを怖がらないでほしいんだ・・・・。

一番見せたくない姿を杏樹さんに見せて

アイツほんとかわいそすぎる。

薬が…そしてアイツの鬱積された杏樹さんへの愛が

破滅したんだと思うんだ。」




「怖がらないでいい?」




「アイツは君を愛してたから・・・・・・。

だからいままで必死で

アイツが築き上げたものを忘れないでほしいんだ……。

杏樹さんも辛いと思うけど……

憎んでたんじゃない…愛してたんだ……。

だから……許してやってほしい……。

本音で俺たちはアイツと付き合ってきた。

酔うとアイツはいつも杏樹さんを愛してるって言って

酔い潰れた……。

そんなアイツと俺たちは付き合ってきて……

だからこうやって杏樹さんに伝えたいと思ったんだ。」



ヒロトの言葉は 悲しく心に響いていく・・・・。




  怖がらないでいい




「怖がられたら…アイツめっちゃ気の毒すぎるから……」




目を閉じて・・・でも・・・



「でも…忘れられないの……

真っ赤に染まった進も…めちゃくちゃなぐられて

殺されそうになった恐怖感も……

おまえのせいだって言われた…あの表情のない顔も

怖くて…怖くて…」



「時間がかかってもいいよ・・・・。

ただそれだけ覚えておいて・・・・。

杏樹さんの悪夢が少しでも和らぐかもしれない……」




私はうなずいた。



「ありがとう・・・・」とヒロトに言った。




                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

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