灰色の空 八話
進が部屋の客を激怒させて 追いだされてきた。
私の小さい城は
進が転がり込んできたことで
とんでもないことになった。
「どうして?」
「ちょっと店の客に入れ混んじゃって
パトロンの置いてあった宝石類を金にしちゃって……」
寝耳に水だった・・・・
「え?クリスらしくないことに………。」
クリスは新規で飛び込みで入ってきた若い女にらしくない好意を持ったらしい
話を聞きながら私も複雑だった、
クリスが特別な存在を作ったことや
掟やぶりを犯してしまったことも………。
そしてその女はまたとんでもない女だった。
最近来ないと思ってたら
そういうことだったのか……。
「まいったな~~もんすごく怒り狂っててさ……
店のオーナーにも圧力かけて……
俺クビになっちまったし……。」
「クビ?なんでまた…そんな……」
「めぐ~~頼む~~金貸してよ。」
「え!?そんな…私だって貸せるようなもんじゃないし……」
「オーナーに前借してたからそれ返さないと……
他の店でも働けないし……。めぐ金あんだろ?
実家だって金持ちだしさ……」
「実家はもう関係ない。やめてくれる?
うちをあてにすんの。」私は頭に来て強く言い返した。
進は私を押し倒して
「めぐしか頼れないんだって・・・・。
すぐ他のとこ探して 金返すからさ~~~ぁ
フロンティアの杏樹さんはかなり稼いでいるだろう?
俺の貸してほしい金なんて
簡単だろ?頼むよ…ほんと…困ってんだ……。」
耳元でささやく
耳たぶを甘く噛みながら 唇は移動していく……。
「知らないって…アン……イヤ…」
私の体を知りつくした進の攻撃は執拗で
切羽つまってるのを物語ってた。
いつも以上のテクニックに私を酔わせて
「めぐしかいないんだよ……」と言い続ける。
お金はなんとかできる額だった。
その金を持って進は部屋を出ていった。
進ならすぐに返してもらえるだろう……
なんて考えが甘いことに気がついたのは それからまた
しばらくしてからだった。
しばらく戻って来なかった進が
顔中腫らして戻ってきた。
「ちょ…ちょっと……。」
「めぐ………金貸してよ……。」
進が堕落し始めていった。
「また?なんで?もう無理だから・・・・。
仕事見つけたんじゃないの?」
「まえのオーナーに潰されまくっててさ……」
「だって…前借分は返したんでしょ?」
「めぐ…頼むよ……。
俺…殺されちゃうよ…」
情けなく進が泣きだした。
私は全身の力が 一気になくなって茫然と進を見るしかなかった。