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激愛  作者: Lavia
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灰色の空 一話

この天井を見るのは…ニ回目だった。



 また…ここにいる……懲りないよな……。



「目覚めましたか?」


不思議な感覚だった麻酔がさめる時……

現実に戻る瞬間



灰色の空に見えるこの現実が私を空虚な世界に呼び戻した。



「誰かお迎えは?」



「…いいえ…一人で帰ります……。」



「じゃあもう少し休んだら受付で会計とお薬もらって行って下さいね。」



部屋には誰もいなくなった。



私はまだぼんやりとしてる感覚の中で お腹に手をあてた。




「ごめんね……。」



涙が流れて枕を濡らした。




「もう…消えてなくなっちゃえばいい……」




彼を探しに行った半分の心はいつまでたっても戻らない。



残された半分の心は自暴自棄になって

体も心もボロボロになっていった。



「小山内さん……。」



私が目を開けると 白衣を着たお医者が立っていた。



「これ以上 こういうことが短期間の間に続いたら…一生子供が

産めなくなるかもしれないよ。

ちゃんと相手の人に話して避妊をしてもらいなさい。

それがダメなら別れなさい。

きみにとって…いらない人間だと思いなさい。」




「はい・・・・・・。」



ニ回目だった。



私は半年前にも一度 中絶手術を受けた。



そして今日またニ回目の手術が終わった。



「まだ若いんだから・・・・・

男は一人じゃないんだよ。

ちゃんと責任のとれる男を探しなさい。」




  わかってるって……




だって進は 私の一番愛するべき男じゃなくて……



空虚感を埋めてくれる存在でしかなかった。




それでも…私は進と別れられずに同じ過ちを繰り返している。




手術代は 進がブツブツいいながら用意した。




「妊娠しないようにおまえが気をつけろや。

もう今回だけだからな。」



朝 私にお金を渡してベットに入って寝てしまった。




  情けなかった……。



だけどもうどうでもいいと思った。



 こんな人生 どーなったっていい・・・・・。




進路先も未定のまま 私は卒業を来月に控えていた。



うるさく言っていた両親はいつしか何も言わなくなった。




  本当に捨てられたんだ……



豪邸の中で孤独になった私はそう悟った。



千夏は死んでいるのに 生きていて

恵美は生きているのに 死んでいた



なんだか自分の人生が滑稽で 笑える………。



進が自分を愛していないのはわかっている。

だから・・・進と別れられない……。



愛を彼以外の男と囁き合うのは考えられなかったから



自分を愛してない進とする 軽い恋の代賞が大きくなっていっても

一人でいるよりはよかった。




「俺は特別を作らない。」進の生き方も嫌いじゃない……。



私と進は似ていると思う……。




「私も特別を作らない……」彼以外の男を本気で愛することはないから……。

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