四話
彼がやっと 唇を離してくれた。
私は恥ずかしくてうつむいた。
「めぐちゃん?」
「え?」
「なんて呼んでほしい?」
「恵美って…呼んで下さい……。」
彼がにっこり微笑んで
「じゃあ…恵美…ここではなんだし入りなさい。」
私ったら先を急いで 玄関で彼に告白をしてしまったんだ。
うわ…カッコ悪い……
「お邪魔します……。」揃えてくれたスリッパをはいた。
男の人の家という様子が一つも見れなくて
私は誰かほかにいるのかとキョロキョロした。
「先生…一人暮らしですか?」
「うん…そうだよ……」
「めちゃくちゃきれい好きですね。
だって…全然散らかってないもん……。」
「そうでもないよ。
邪魔なものを視界の中に置いておきたくないだけ。」
そう言って壁側にあるドアを開いた。
「なるほど~~」
見えなくていい生活のものがキレイに棚のクローゼットに片づけられてる。
「ここをしめれば キレイだろ?」
彼は舌をぺロッと出した。
さっきまで私の舌と遊んでくれてた彼の舌を見て
また頬が熱くなった。
「どうした?」
彼が覗き込む。
「あ…さっきのキス思い出したら 恥ずかしくなりました。」
「恵美は…ファーストキスだったの?」
「はい…」 めっちゃ恥ずかしい……
「相手が俺でよかったかな?」彼の冷たい指が 私の唇に触れた。
「はい…。最高のファーストキスでした。
ちょっと…激しかったけど……。」
彼のちょっとつった目が色っぽくてゾクゾクする。
「恵美…俺たちの関係を壊されないように……
いい子にしてたら
たくさんご褒美をあげるから……。」
彼が私を抱き上げて ダイニングテーブルに座らせた。
「ご褒美って……?」
期待感で声がかすれた。
「二人で気持ちいいと思うこと……」
意地悪っぽく笑って
彼の気の遠くなるような甘いキスが また私を大人の世界に誘ってゆく……。