彼の存在 八話
「酔っ払いか?」
私が大の字で寝てると声がして慌てて起き上がった。
「なんだ…ガキか…」
ホストクラブの男の人みたいな
茶髪のツンツンヘアー
多分私よりは ちょっと年上で…遊んでるタイプに見えた。
私は雪をほろいながら…罰が悪い気がして
小走りで走り出そうとした。
「ちょ…ほら……」
コンビニの袋から湯気の立った物を出した。
「肉まん食う?」
私は首を振った。
「ほら…遠慮すんな。」口につけたから
「あっつい!!」と言った。
男はゲラゲラ笑って
「めっちゃうまいぞ~~食っていいぞ~~」と言った。
その流れに私は口を開けて一口肉まんをかじった。
「ホワ・・ホワ…あっつ~~ぅ~~」
私は口から湯気を出してあふあふしていた。
「うめーだろ~~後は俺んだからな~~」
そう言うと男は歩き出した。
「ごちそーさま」
男は手を上げて去っていった。
おもしろい奴だな~~
男の姿を見送りながら…なんだかイライラが吹っ飛んだ気がして
私も家に戻った。
肉まん美味しかったな……
あんまりコンビニとか行かないから……
正直言うと 初めて食べたような気がした。
次の日 学校の帰り道 家のそばのコンビニに初めて入った。
肉まん…肉まん…
レジに行って
「肉まん ひとつ下さい。」と言った。
「はい。」元気な声の店員が
「肉まん好物だったのけ?」と言った。
驚いて顔を上げたら 昨日の茶髪の男が肉まんをとりだしていた。
「あ!!昨日の・・・・」私も思わず声を上げた。
「よ…酔っ払い~」
「違うから~~~頭冷やしてたの。」
「そっか~~うちの肉まんめっちゃ美味いぞ~。」
「それで食べてみたくなったの。
一つ全部~ね~。」
「あ…そ~~百円なり~~ぃ~~」
おもしろい奴だ…私はそう思った。