彼の存在 一話
夢のような素敵な出来事だった。
彼の指や唇が私に触れた時 そこに愛を感じてしまったのは
私の間違いなんだろうか……。
彼に触れられることで
私は最高に 幸せな気分になる……。
私にとって彼という存在は 私の生きる証だって……
彼のいないこの世はきっと……色のない世界
彼がいるから私は いろんな心でいろんな色を
感じることができるんだって
夢なら覚めないで……。
もし目が覚めてこれが夢じゃなかったら……
私は
彼の腕に飛び込もう・・・・・
きっと…彼も私を…愛してくれている……。
だけど…どうしても
私を受け入れられないなら……
私は彼にこの想いをきちんと伝えて……
「あなたをずっと待ってるから」ってそう伝えよう……。
彼を待つ意味は私の人生の全てだから……。
夢を見た。
小さい頃の私 彼にだっこされて
高い木の葉を一枚 もぎとって 彼の髪の毛にさしてあげた。
「似合うか?」
「うん!!」
そして私を抱きしめる。
小さい私は おねえちゃんみたいに抱きしめてって言いたいのに
やっぱりうまく伝えられなくて
彼は私を下に置いた。
次に私は もっと喜んでもらいたくて
可愛いたんぽぽをつんで彼に持って行こうと振り返った。
ベンチに座って 二人が見つめあっていた。
私は彼の名前を呼んで 走り出そうとしたら
二人は熱いキスをし始めて
私の足は とまった。
見ちゃいけない……
子供心にわかっていた。
だから私はまたしゃがみこんで たんぽぽをとり続ける……。
悲しかった……。
小さい心が 壊れてしまいそうだった。
おねえちゃんなんて…いなくなってしまえばいい
私は何度も何度もそうつぶやいて
たんぽぽをもぎ取った。
そしてそのたんぽぽを地面に投げ捨てて
足で踏みつけた。
死んじゃえ…死んじゃえ……
それから場面が変わって 彼が雪の中で泣いていた。
「どうしたの?どうして泣いてんの?」
私が聞くと
「うさぎが俺の大事なものを…壊してしまったんだ…」
「うさぎって?誰?」
「恵美のせいで…千夏は死んでしまった……。」
彼はそう言って泣いた。
「恵美?」私がそう言うと
向こうから真っ白な帽子をかぶった幼い女の子が走ってきて
彼を抱きしめた。
「めぐがいるから……」
うさぎはそう言うとうなだれている彼を小さな体で
抱きしめた。
うさぎは私と目が合うと ニッコリと微笑んだ。
うさぎの心の声が私には聞こえた。
邪魔者は消えたから……
彼は私のものだよ。
可愛いはずのうさぎが 恐ろしい生き物に変わっていた。
「陽之介~~逃げて~~~」私の声は彼には聞こえない。
うさぎは不吉な笑いを浮かべて 私を見て笑い続ける。
助けて・・・誰か・・・・助けて・・・・・
私はそこから動けなくなっていた。
彼が真っ白な雪に隠されていくのに…
愛らしいうさぎのふりをした悪魔が彼をどこかに連れて行こうとしていた。
待って~~やめてよ!!!
彼に触んないでよ!!!
私はぐっしょりと汗をかいて 目が覚めた。
悪夢から目覚めて 私は大きなため息をついた。




