愛するという事 九話
「帰るわよ。」母が私の腕を掴んだ。
私は彼を振りかえったけど 彼は冷たい目をして向こう側を眺めている。
ごめんなさい・……
私のせいで あなたの夢を壊してしまう
それだけは絶対阻止しなければ……
廊下で私はママの手を振り払った。
「ひどいよ…先生には関係ないのに
どうしてあんなひどいこと言ったのよ。」
「憎いからよ。
これ以上あいつに振りまわされて
あんたまで失いたくないわ。」
もう失ってるよ
「理事長先生とかやめてくれる?」
「それは無理。
千夏の夢をあいつがか叶えてんのは許せない……。」
「ママたちだって先生の大事なもの奪ってんのに?」
ママの顔が強張った。
「家まで送るから用意してきなさい。」
話をすりかえる。
「いい。志摩ちゃんが待ってるから。
忙しいんでしょ。仕事戻って・・・・・・。」
ちょうどいいタイミングで友達に名前をよばれた。
「めぐ~~ぅ」
ラッキー
「行くわ。」
私は母をふりかえらず友達の方へ走った。
彼と話しがしたい。
彼に謝りたい・・・・・。
頭の中はパニックだった。
彼の表情が…これ以上…彼との距離が広がるのは
死ぬほど辛いから・・・・
今は先生と生徒でも
彼を見つめられる場所が私の大切な時間
それが今の私の愛するということなんだから
その場を奪われることだけは どんなことがあっても
それが親だとしても
許せない・・・・・。
「めぐ・・・大丈夫だった?」友達がいった。
「あんま…大丈夫じゃない…」
涙がここで溢れてきた。
「今日は最悪な一日だよ……。」顔を覆って泣いてしまった。
彼と親を会わせてしまった……
自分が一番…許せなかった。
彼を人前で…傷つけてしまった。
過去を暴露されてしまった………。
全部。。。私のせいだ・・・・・・・。