告白 一話
人に気配が何もない廊下だった。
さっきまであんなに 騒がしかったのに……
まるで私と彼を 二人っきりにしようとだれかが魔法を
かけてくれたように……
私は少し赤くなった膝を撫ぜた。
「おっちょこちょいだね……。」
冷たい先生と噂の彼は めっちゃ優しくて
私は驚いた。
「私の通信欄にはよく書かれる
チャームポイントです。」
彼が声を出して笑ったから 私はビックリした。
「小山内はおもしろいね。」
彼はまた笑った。
「先生……。」と呼びかけた瞬間に私にまた魔法が
かけられた気がした。
「ん?」彼の甘い声が私の中をすっぽりと
占拠してしまう……。
おねえちゃん…力をかして……
こんなチャンスないよ・・・・・・。
「先生…私…先生が………好きになりました。」
顔が真っ赤になって
爆発しそうになっている。
彼からなんて拒否られるか
私は体を固くして彼の言葉を待った。
私を支えてくれた
彼の手が私の手に触れた。
「これから言うこと 暗記しろよ。」
そう言うと待ち合わせの場所を
早口で言った。
そして何事もなかったかのように
彼は私から離れていった。
それからすぐまた私の周りはざわついた。
さっきまでみんなどこにいたの?
そう聞きたいくらいだった。
私と彼の間には何か 力があるのかな。
おねえちゃん…これって受け入れてもらったの?
自分の積極的さに驚いた。
私ってこんなに積極的だった?
これにも
何か後押しされた気がした。
きっと おねえちゃんが応援してくれてるんだ
とりあえず…待ち合わせの場所に急がないと……
私は全力疾走で廊下を駆け抜ける。
彼に会うために……
これから始まるかも…知れない…恋のもとへ………