白いうさぎ 六話
高校二年生になって新しいクラスに変わった。
志摩ちゃんとは離れてしまったけど それなりに知ってる顔がいて
そんなに不安はなかった。
「いいな~めぐ~~」
「さっき 真紀子にも言われたよ…」
私はクラスの離れた友達から 何回も言われてる
「いいな~」という言葉に苦笑していた。
「だって…王子と同じクラスなんだもん~」
「なこと言ったってまだ うち喋ったこともないよ。」
「いいな~毎日至近距離で王子を見られるなんて めぐは幸せだよ。」
王子・・・・・
アイドルになれそうなくらい素敵な子で
一年の時から友達が騒いでいた。
勉強ができて スポーツもできて それから生徒会にも所属して
こんなに全てを兼ね備えた人間がいるなんて
志摩ちゃんたちには彼の後に星まで見えると
王子と呼んでみんなで楽しんでいた。
私は王子より もっと素敵な人のことで頭が一杯だったから
学級代表で絡んではいたけど そんなに興味はなかった。
確かにカッコいいことは認めるけどね……
王子の存在はやっぱり クラスで断トツだった。
明るくて元気で いつもみんなの中心で笑ってる
王子の魅力に人が引きつけられるのかもしれない。
移動教室の時 忘れ物をして慌てて教室に戻った時のことだった。
生徒が各教室に入ってもう 静かになっていた。
教室からノートを持ちだして走ってると
彼の後ろ姿。
私は誰もいないのを確認して 彼に触れようと走り出そうとした瞬間だった
山岸先生が脇の教室から出てきて 彼の肩をポンと叩いた。
私は慌てて階段の踊り場に隠れた。
二人は立ち止り
山岸先生は彼のネクタイを笑顔で直していた。
彼もされるがままに 山岸先生と笑顔を交わす。
その光景は 大人で…
私には到底そんなことはできないと思った。
二人は言葉を交わしながら廊下を進んで行く。
時より山岸先生が甘えるように彼の体に 自分の体をぶつけた。
彼は大げさによろけて また二人で見つめ合って笑う。
山岸先生の締まったウエストを見せつけられながら
私が子供すぎて……彼が遠くに感じた。
二人はまだ続いているのかな……
彼が山岸先生を私を抱くように抱く姿を想像して一気にブルーに突入した。
今夜は絶対に抱いてもらう……
私はそう決心した。
彼は私のもの……
泣きそうな気持を ぐっとおさえて私は歩き出した。