白いうさぎ 四話
私の頬にキスをして彼が帰っていった。
彼の後ろ姿を見送りながら 心はもう踊っていた。
彼は・・・・
私のものよ
おねえちゃん……
おねえちゃんと繋がっていた彼の糸を 私に手繰り寄せて
死んだ人間と生きた人間のできることの違いで
彼を抱きしめてあげられた。
彼も恵美を抱いて 愛してくれた。
おねえちゃんの部屋のベットを直しながら
さっきまでここでしていたことを思い出す。
まだ体の中心が熱い
彼とひとつになった喜びが 私を包み込んだ。
愛してる……
私の名前を何度も呼んでくれた………
自分を愛してもらいたい人に
初めて認められた気がした。
いつも私の前には おねえちゃんがいた。
おねえちゃんはもう存在すらないのに 私は戦わずして
いつもおねえちゃんに負けていた。
でも……でも
今日は私にとって 戦いに勝った日
一番欲しい人を手に入れた。
「もう絶対に離さないから。」
おねえちゃんの部屋で私はそうつぶやいた。
両親がなんて言ったって
絶対彼と一緒にいるんだ。
世界中を敵に回したって構わない。
二人っきりになってもいい
おねえちゃんができなかったことを私がするだけだもん…。
「陽之介って誰も呼んだことがないんだって…」
幸せで…幸せで仕方がなかった。
この喜びを誰かに話してしまいたい……。
この心も体も彼のもの………。
私はこれから待つ未来は 幸せしかないと信じてた。
彼と一緒にいる未来を信じて………。