白いうさぎ 三話
「めぐ…恵美……」
名前を呼ばれて目を開けると愛する人の顔
恥ずかしくて彼の胸に急いで顔を埋めた。
「大丈夫だったか?」
彼の言葉に思いっきりうなずいた。
体を離そうとする彼にまたしがみつく………。
「行かないで……。」
彼は私を優しく抱きしめてくれた。
「おねえちゃんと…愛し合えた?」辛い質問だった。
「そうしたかったんでしょ?思いは叶った?」
困っている彼の頬にキスをした。
「私とおねえちゃん…そんなに似てるんだ……。
皮肉だね…姿形そして…… 抱かれてる時まで同じなんて…
ほんと…親を恨むしかない…あはは……。」
笑いながら涙が流れてきた。
「責めてんじゃないの……。
それでもあなたに抱かれてうち…めっちゃ幸せだったから…
世界で一番愛してる人に一番をもらってもらって
幸せだったよ……。
だから泣いてんの。悲しいとか辛いとかそんなんじゃない
それだけはわかってほしいの
うちね…あなたに会えてよかった。
あなたは私の運命の人だから……。」
彼が私の額にキスをした。
「俺はずっと恵美だって思って抱いていた。
だから…痛くないのか心配だった……。」
彼が私の中に入って来た時そういえば
「大丈夫?」って聞いたんだ・・・・・。
「え?」
「千夏だと思いこもうとしたけど……恵美だった。
ずっとずっと恵美を抱いてるって…わかってるよ。」
私は時が止まったように彼を見つめた。
ほんとに?
「うん・・・・。恵美を抱いたんだ・・・・。」
嬉しかった めちゃめちゃ嬉しかった。
初めて おねえちゃんから彼を奪い取った気がして
私は有頂天になっていた。
もう大丈夫だよね?
おねえちゃんの呪縛から解放できたんだよね?
私は嬉しくて嬉しくてまた彼を求めた。
「次は…恵美だって思って愛されたい……」
彼がまた私に覆いかぶさった。
静かに目を閉じて 私はさっきとは違う
幸せな気持ちで 彼に触れられる快感を楽しんだ。
「名前…名前呼んで……。」私は叫んだ・・・・・。
彼は「恵美…。」と呼んだ。
「もっと…もっと呼んで…恵美って呼んで……」
自分のことばかり考えていた。
その時 彼がどんな気持ちで私の名前を呼んでくれていたのか
考えもせずに……快感の波が押し寄せて
何も考えられなくなった。
「よ…ようの…すけ……」
私の 溝端 陽之介
私だけの 陽之介なんだ………。
陽之介の動きに合わせて 一緒に空を飛んだ気がした。
海の底ではない・・・・
青い空を陽之介と一緒に…飛んでいる
そう思っていたのは 私だけだった………。