春の雪 六話
女を抱いても 愛されても
俺の体と反対に
どんどん心は冷めて行く……。
「何を見てるの?」
「おまえを見てるけど?」
「うそつき・・・・。
あなたのそういうとこが辛いの……。
本当のあなたは…ここにはいないでしょ?」
冷酷男とか
死人とキスしてるみたい
相手が俺を愛していくと 俺の中に
自分への愛が見えない
傷つけてしまいながら
俺から去っていく………。
仕方ないさ……
相手から近づいてきて 怒って去っていく……
俺が悪いわけじゃにだろうに……
だけど・・・
女を抱きながら 千夏を探している。
千夏に似てるところが見つかれば
俺は千夏を抱いている気分になって
冷えた心が熱くなっていく
そして果てた後に残る
この残酷な現実にまた…心が凍りつく
女を抱くたびに残るのは ただ
無残に傷つく 自分の傷の痛みだった。
もうすぐ・・・・
もうすぐ
千夏を抱きしめる日が近づいている。
俺はきっと恵美は この学校に入学してくると確信していた。
そして入学名簿に見つけたんだ……
小山内 恵美
恵美が千夏だったら・・・・
きっと俺を見つけてくれるだろう……。
もし恵美が俺のことを見つけられなかったら
その時は 恵美に近づくのはやめようよ思っていた。
入学式
俺は恵美をまっすぐ見つめた。
なっち………
そして俺と恵美の視線が絡み合う・・・・・。
そこに立っていたのは
俺の愛した
小山内 千夏 だった………。