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激愛  作者: Lavia
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春の雪 五話

春の雪に真っ白にされた俺は

全てにおいてリセットされた気がした。



高校を卒業してから 世話になっているスーパーからも

就職の誘いをもらったけど

俺は 大学進学を決めて



千夏が行くはずだった



教育大に入学した。



そして高校の教師を目指すことにした。



勉強してそしてバイトして

親父からもらった貯金を使わせてもらって

いろんなことを考えられないように

集中するために必死になった。




俺も忙しさにかまけて

親父から足が遠のいていたある日



めずらしく親父が俺を家に呼んだ。



上機嫌な親父が寿司をとってくれて

親父は俺の近況を知りたがった。



俺がそれとなく毎日の話をすると



「おまえに何もしてやらんかったのに・・・・

こんなに立派に育ってくれて…ありがたいな。

おまえは俺の誇りだから……

親らしいこと何もしてやらなかったこと

許せないと思うけど

許してほしい……。」



そう言うと泣き出した。



「親父・・・・・」




しばらくしてまた 上機嫌になって俺に酒を注いだ。


「俺の健康上 何かあればここに全部

大事なものが入ってるからな。」



親父はそう言うとにっこり笑った。




何か親父に違和感を感じていたけれど

また忙しい毎日をおくりすっかり忘れていたある日のこと



親父が死んだと



警察から電話が入った。




  死んだ?????




親父は鬱病と闘っていたのだった。



千夏の親から 工場勤務に飛ばされ ある意味やりがいもなく

いろんな葛藤の中で暮らしてきたのだろう。




俺の中での親父はもう…いい親父だった。



親父の援助のおかげで俺はこうして

とりあえず将来を見据えていられた。



ひっそりと葬式を出した。



同僚だった人が数人 参列に来てくれた。



本社からの圧力と嫌がらせに 親父が悩んでいたと聞いた。



きっと・・・・

千夏の親の会社が 本社に圧力をかけていたんだろう



俺はそんなことも知らずに自分のことだけで

精一杯だった。


千夏を失って

そして親父を失った・・・・・。



復讐心は否応なく 募っていく………。



親父が残していた家に戻って暮らしだすと

小さい頃に受けた暴力を思い出し夢を見た。



悪夢が俺と包んで行く。



親父とはわかりあったつもりでいたけど

トラウマは簡単にはとれないものだった。



俺は 教師の免許をとって 千夏の通った私立高校へ

千夏の姿を追い求めて教師として採用になった。



すぐに家を建て替えて

それでやっと悪夢から解放された。




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