十話
放課後跳ねるように 職員室に向かって深呼吸して
ドアを勢いよく開けたら
ドン!!!
誰かとぶつかって私は廊下に吹っ飛んだ。
「ごめん!!!大丈夫か!!!」
「は…い…」
私は少しふらつきながら相手の差し出す手をとった。
その手を握った瞬間
ハッとして顔をあげると
私の視界の前にいるのは 彼だった。
「大丈夫かい?」
近くでみると先生の目って 鋭いつり目なんだ……。
でも涼しげでキュンとしちゃう……。
ドキドキ・・・・
心臓の音聞こえてないかな……。
「すみません」 私はその手につかまった。
一瞬 時が止まった気がした。
たくさんの人の行きかう学校の中で 私と先生以外何も見えなくなった。
しばらく間があって先生が
「何か用?」と聞いたから 私は慌てて
「理事長先生に会いに来ました。
1年1組 小山内 恵美 です。」
「理事長?あ…それじゃついてきなさい。
僕も今 行くところだったから……」
なんて なんて ラッキーなんでしょう…
私はスカートをなおして
彼の後をついて行った。
背が高くて ガッチリしてて めっちゃいい匂いがした。
穴があくほど 堂々と彼の背中をガン見した。
時間が止まって 彼とずっとこうしていたいな…
私は夢の中にいるようだった。
理事長室という部屋についた時
彼が私を振りかえった。
そして コンコン とドアをノックした。
「溝端です。」
私も彼の後をついて理事長室に 入った。
大きなテーブルには 大仏にソックリな理事長が座っていた。
「溝端先生 その生徒は?」
「あ…1年1組の 小山内 恵美です。」
私は慌てて名前を言った。
しばらく間があって理事長が
「あ!!! 小山内 千夏 さんの!?」
とめちゃめちゃ大きな声を出した。
「あ…はい妹です……。」 私はその迫力に負けそうになった。