出会い 一話
よく晴れた日だった。
私の名前は 小山内 恵美
「めぐ~用意はできたの?」下からママの声がした。
「待って~もう少し~」
私は鏡の前で 新しい制服に身を包んで
ニッコリ微笑んだ。
「うん!! オッケ~!!
めっちゃ可愛い~~」と 自画自賛……。
じゃないと誰も私を褒めてはくれないから
でも…絶対に可愛いでしょ…
薄茶色の髪の毛は もう学校に違反じゃないこと
登録済みだし 多少ぽっちゃりだけど……
まだ許される範囲だと 自分は思っている。
中学の時は 内申に響くから 大人しくしていた
スカート丈も 今日から ちょっと短くできる。
「今日から高校生なんだ…。素敵な出会いがあるかな~。」
鏡の中の私は 希望に満ち溢れていた。
絶対に行きたかった学校だった。
だから必死な受験勉強……内申あげるための努力
頑張った自分が今 その高校の制服に袖を通す。
だから楽しくない訳がない~
「でも もうすこし痩せた方がいいかな~」
背中越しの自分を確認
「きっと恋でもしたら 痩せるよね……」
「めぐ~~何してんの~~!?」
ママの声~~
私は階段を 駆け降りた。
リビングでは 両親が待っていた。
二人は目を細めて 私を見つめた。
「ごめんね…今日一緒に行ってやれなくて。」
ママが申し訳なさそうに言った。
うちは自営業で 両親とも多忙だったから
学校行事は 運動会以外はなかなか参加が難しかったけど
それでも時間を見つけて 来てくれるのが
とっても嬉しかった。
「いいよ~今日は平日だもん。
それに高校生なんだし…いつまでも子供じゃないよ。」
「高校生か・・・・。
早いもんだな・・・・・。」
パパの細い目がなおさら細くなる。
「千夏にソックリになってきた……。」
「あ…そうそう
おねえちゃんに挨拶していかなきゃね~」
私はいつも美しい花に囲まれた仏壇で
お線香をあげた。
「おねえちゃん めぐ高校生になったよ。
おねえちゃんが通ってた学校
おねえちゃんと同じ制服………
似合うでしょ?」
私は くるっと 回った。
遺影には 本当にそっくりな おねえちゃんが
微笑んでいる。
私よりは やせてるけど………
そしてもっと悔しいけど 美人
おねえちゃんは 高校三年生の時
交通事故でこの世を去った。
私は その時五歳だった。
記憶はとても曖昧だけど……
時々 その記憶が頭をよぎることがある……。
それがとても不思議だった・・・・。