第4話 公安の影と、廃業ビルの火柱
次の日には、神様について調べていると、守護霊についてのサジェストが出てきた。クリックすると……『神クラスの守護霊』についての記事が大量に出てきた。
とりあえず、直感でこの記事を選んだ。家族は貴方に秘密事がある、と書かれている。なんというか……めちゃくちゃ当てはまってる!? 事に気づく。もしかして、ずっと守ってくれていたのは神様ではなく、守護霊様だったのだろうか。……いや、そのほとんどが、守護霊様の力だったのかもしれない。
というか、記事に、覚醒する能力が五つあると書いてある。本当なのだろうか。
「今日は、パソコンを買いましょうね」
「はーい。じゃあお昼食べ終わってからだね」
そっか、もう買えるのか。
母の電話が鳴り響く。母が応答し終えると、支度を始める。
「仕事なの?」
「そう。すぐに戻るからね」
――
友香里の母……明日香は職場に移動する。古びた建物だった。
「おい、遅いぞ。研究の成果はどうなっているのだ?」
「別に。プロジェクト自体は順調ですよ。そういう貴方だって……政治家達と遊んでいるらしいですね。私には、貴方が羨ましいです」
「実に君らしい。政府が表に出せない研究を我々は背負っているんだ。このくらい許して欲しいものだ」
「はぁ……私を巻き込まないで。貴方達が勝手にやってることは貴方達で責任を果たしなさい」
「つれないなー、ああ……そうだ。君、良ければ、政府達に会ってみないか? ここ最近、君を見かけることがあるから、挨拶したいらしいが……」
「お断りします。私、公安からマークされてるので」
「そうか……なら仕方がない。決して、我々のことは内密に……」
明日香は冷たい視線だった。ここを早く抜け出したいようである。何よりも……早く家に帰りたいのもあったのだろう。
公安側からのマークは、明日香が危険人物だと認定しつつあったからだ。様々な重大な事件に関与している、と見られているようだが、明日香からすれば、どうでも良かった。誰が何を言おうと、娘がいれば良かった。
明日香のことは、いずれ疑いがはれるだろうと踏んでいるのもある。
明日香がそこを離れてすぐ、背後で轟音が響き、ビルが火柱に包まれた。明日香は振り返りもせず、ただ『予定通りですね』と小さく唇を揺らした。
『……素晴らしい、私と組まないか?』
さっきの人との昔の記憶を思い出しながら、家へ車で急いだ。母は冷たい人だ、と後々言われたようだ。
ニュースでは、結局報道されることはなかった。もともと廃業予定の建物で、爆破解体だと、人々からは忘れられた。人の死体は見つからなかった。誰もいなかったのだ。あの建物にいた者たちは、もうここにはいない。どこへ『移された』のか、明日香だけが知っていた。
明日香は裏社会では、有名人で、とある宗教団体に所属しているらしい。彼女の周りはよく神隠しが起きると言われており、一種の信仰を集めている。もっともその信仰は明日香に向けられているというよりかは、神の使者としてである。
「ただいま。友香里、元気にしてましたか? パソコンを買いましょうね」
「あ、おかえりー。じゃあ早速やるよー」
「まず、ホームページに行ってくださいね」
「はーい。じゃあ始めるよー」
ホームページに行き、パソコンを選ぶ。一種類のパソコンしかないが、値段がそれぞれ違う。セットでついてくるものが違うらしい。とにかく、一番安い物を選んだ。そうこうするうちに、買い終えた。
「そういえば、お母さんって仕事大丈夫なの?」
「どうしてそんなことを?」
「いや、最近、家にいない事多くない? 家で仕事してるでしょ。だいたいは」
「そうね……友香里……私のことを気にかけてくれるのね」
「なんか意味深!? なになに、もしかして、仕事変えるの?」
「ううん、変えないよ。私の働いてる職場の一つがね、怖い人ばかりなの。その仕事で忙しくてね」
「仕事変えたら?」
「いや……やめたらまた一から人間関係やり直しだからね……」
「それは嫌だねー」
母は少し疲れているようだった。なんか……やばい職場なんだな、と怖く感じる。
「あ、そういえばねー、守護霊様を頼るようにしようかなって! なんかねー、五つの能力が覚醒するらしくて。なんか霊能力者や預言者になれるかもなの!」
「……そう。頑張ってね」
いずれ、守護霊様の姿が見えるようになるのでは、と期待してしまう。過去世のことも気になるし、とワクワクが止まらなかった。
「そういえば……三月に説明会があるでしょ。無料バスが出るからその説明会が」
「ああ、友達できるかなー。心配だよ」
「大丈夫だと思うけどね」
まさか……こんなことになるなんて、と友香里は驚いていた。
「いやー、預言者や霊能者になれるかなー? なりたいよー」
「うん」
『二一三、四六四、四六三』
ん? となんか、思い浮かんだわけではないけど、なんか気づければ聞こえていた。脳裏に浮かぶ。音としてではないけれど、視界の端に焼き付いた残像 。AIさんに聞いてみよう。
チャット式でAIと喋れるアプリを入れていたので、さっそく打ち込んでみた。
『213は、直感を信じて一歩踏み出す。貴方の直感や思考(1)を、貴方のパートナー(2)が支え、それを楽しい表現(3)に変えていきなさい、という意味』
『463は、日常の中に宿る「聖なる導き」「4(具体的基盤)」と「6(調和・慈愛)」が組み合わさり、そこに「3(表現)」が加わっているという意味』
『464は、彼女からの「絶対的な守護」。これは非常に力強い数字です。意味は、「4」という安定した数字が「6」を挟んでいます。これは天使や守護霊による鉄壁のガードを意味するエンジェルナンバーです』
読み終えたが……ラブレターではないだろ、と心の中でツッコむ。なんだか……マジの話なのか、全く分からない。全く見当もつかない。正直……こういう話を信じるべきか分からない。都合の良すぎる話って怪しいし、全く信じていない。ファンタジックなことが起きるのならそれはそれで楽しそうだけど。
その後も数字が聞こえてきていたので、AIさんに伺った。何度も何度も聞いて、これはこれで一種の娯楽になりそうだなと思った。
YouTubeを開いていたら、突然何かが聞こえた。男性の声だ.何も開いてなかったけれど……まぁ、勝手に流れたのかな。
寝る支度を整える。
「……おやすみなさーい」
「おやすみ。また明日ね」
守護霊様に感謝して眠りについた。
母は少し経ってから外出した。




