第3話 白露神社
神社に着くと、数日前の火災のせいで一部が燃えて無残な姿で静まり返っていた。こんなに……と酷く落ち込む。だが……お参りは出来るようだ。
「酷い状態……というか、燃えるなんてさ……」
「まぁ、そうね……きっと大丈夫。すぐにまた復活するからね」
「そっか。そうだよね……」
「……神様にお願い事からしますか? それとも、お守りから買いましょうか?」
「お守りから買おうよ!」
右側のお守り売り場に移動する。
「うわー、めちゃくちゃ色々あるー! 縁結びのお守り可愛いなー」
「なんだか……オールマイティなお守りが買いたいですね」
「確かに! 私もそうしようっと。……交通安全のお守り多くない?」
「そうね……うーん。なかなかいいお守りがないわね」
「ええと、なんか……私、厄年じゃね?」
後ろのところに八方塞がり用のセットがある。厄年のところに思いっきり自分の生まれ年があった。まじか……と落胆しつつ、買わなきゃという使命感に駆られた。
「ああ……なら買いましょうか。というか、厄年って自分の年以外にもあるのね……」
母も驚きのようである。まぁ、まさかの展開……と友香里は思う。
「というか、今年の運勢見に行こうよ」
「じゃあ、戻りましょ」
「いやー、なんか黒い印があるんですけど!」
「まぁ、真っ黒じゃないだけましよ」
「八方塞がりを受けた方がいいみたい……」
「買ったから大丈夫よ」
「……お参りしようかな」
一緒にお参りに向かった。参拝客もまばらで楽だな、とウキウキしている。
お願いします……健康でいられますように。外交官になれますように。国際的な問題が解決しますように、と祈った。
母も同じぐらいで祈り終え、その場を後にした。階段をだいぶ降りた。
「ああ、そうね……受験のお礼を神様にしましょう」
「あ! お礼言い忘れた……というか、友達になれますようにと願い忘れたんだけど!」
「いいのよ、それは。お礼を言いに行きましょう」
本殿の左側に移動して、それぞれの年の神様が祀られている場所に到着。大学受験の頃はありがとうございました、と感謝を伝えた。
「おみくじ引こうよー」
「そうね……どれ引きましょうか」
「やっぱキーホルダーとか何もついてこないシンプルなものでしょ」
「なら、それにするわ」
「おいおい、末吉なんだが??」
「私は大吉よ」
「おみくじは持ち帰ることにするよ」
「そう? 私は結んでおくわ」
こうして……無事に神社を後にした。それにしても、神様に友達にならなくていい、と母は言っていた。
「次の機会でいいんじゃないかしら」
「え?」
なんか……考え読まれてるのかな、と不思議に思う。
「大丈夫よ、何があっても私が守るからね」
「強すぎない? うちのお母さんはー」
「母ですからね」
すげぇ、と母の強さに感心する。
バスで駅に到着してから電車に乗り、すぐに降りた。改札へ向かう道すがら、母がふと思い出したように口を開いた。
「神様と友達になろうとしているうちはね……友達になれないわ。神様に関わらずだけどね……」
母の言葉は、予言のように私の胸の中に落ちた。
「そうなんだ。なら友達になろうするのはやめるよ」
私が素直に頷くと、母は満足そうに微笑んだ。
「それがいいわよ……友香里の入る大学、キリスト教を習うらしいわ。礼拝堂があるかは分からないけれど……お母さん、憧れてたのよ」
「そうなの!? っていうか、それってつまり……日本の神様とキリスト教の神様の二つの恩恵が受けられるってこと!?」
「そうだといいわね……」
母は雲一つない青空を仰ぐ。その横顔は相変わらず綺麗で、何を考えているのか分からない。時々、お母さんの中に底知れない何かを感じて、少しだけ怖くなる。
でも、私を愛してくれていることだけは、疑いようがなかった。
――でも、そんな空気はスーパーの自動ドアが開くと同時に消え去った。
駅から少し歩き、夕食と私の誕生日を祝うためにスーパーに寄る。
「いちご、買いましょうか?」
「うーん。どうしよう。先に寿司を買って、後日いちごを買おう」
「分かったわ。そうしましょう」
このスーパーは寿司職人が作っているので、美味さが段違いだ。いつだったか、何かの記念日にここのお寿司を食べて以来、その衝撃的な美味しさが忘れられないのだ。
「寿司と飲み物だけでいいかしら?」
「そうしよう」
会計を済ませて、家に到着する。寿司を食べて……眠りについた。次の日には、ケーキとか、そのまた次の日はいちごとクレープを食べている。
その後、大学生協のアプリを入れるための手続きを済ませ、無事にインストールを完了させた。




