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第4章 変わらぬ断罪 第10節


第4章 変わらぬ断罪 第10節



「――・エリザベート・ヴァルツベルク公爵令嬢。

これ以上、君の振る舞いを見過ごすことが、できない」


……あら。


今、殿下はなんとおっしゃいましたの?


驚かれたでしょう?


ええ、わたしも驚きました


もう断罪ですの?


ちょっと早いんじゃありませんこと?


「よって、ここに宣言する。

君との婚約は――破棄、だ」


分かってますわ殿下


もうあなたの婚約者でいたいと思う事も無いのですから


それにしても…ですわ


ヴィー様、それにお供の二人、


今回はベラとミレイユでした


それにお隣の席の今回はマリア様


たまにベラに窘められる事もありましたけれど


毎日が充実しておりましたわ


今回もまた、ヴィー様を連れて見に行った悪役令嬢のお芝居も


何度見てもヴィー様の反応はわたしを楽しませてくださいます


無理やりでしたけど…マリア様も一緒でしたのよ


終始震えておられましたけど、


前回は足を運ばなかった帝都のお店を散策したり


マリア様の商会でまたお茶をごちそうになったり


学園でも


卒業間近で大きな学園行事はありませんでしたけれど


毎日サロンでお茶したり


そうそう、わたくしヴィー様の取り巻きの方々とも


お茶会などもしたのですよ


それは今までにはない経験でした


家がどうとかつまらないことで


お話し一つできないと言うのもつまらないですもの


もちろんマリア様や庶民の方々とも


学園の元ではみな平等などと掲げているのです


それを実行しただけですわ


そのおかげかわたしは学園の皆とも


今まで以上に言葉を交わし合い


これまでになく充実した学園生活を送ることが出来たのです


しかし、そんなわたくしに対して


模範となるべき公爵令嬢らしく無いとか


殿下の婚約者としての立場だとか


以前と様子の違うわたくしに対して


教員の皆さまは戸惑いながらも叱咤されることもありましたけれど


それがどうしたのです、


あなた方もどこかで分かっていたのではありませんの?


わたくしがもう、王太子妃に選ばれることは無いと


そうでしょう、殿下の後ろにおられる先生方


「おい、聞いている」


「黙りなさい!いったいいつになったらその眼鏡をサイズに合ったものに変えるのです!

 みっともないとは思わないのですかあなたは!」


…思わず言ってしまいましたわ


周囲が余計にざわめきますが言いたいことを言えてスッとしましたわ


考え事をしているわたしの邪魔をする方が悪いのです


放っておいても勝手に事は進むのです


いちいちお相手をする必要もないではないですか


少し唖然とした顔で、それでもそれ以上は何も言い返さずに


眼鏡をクイッと直しながら殿下の後ろに控えています


「エリザベート。君はこれまで、この者に対し数々の嫌がらせを行ってきた」


「学園内での中傷、孤立化、器物破損、階段から突き落とそうとした件……」


罪状が読み上げられると


会場がまたざわめきます


その声の中には


「エリザベート様にそんな暇あったか?」

「いつも誰か…まぁほとんどヴィクトリーヌ様にベッタリでしたわ」

「エリザベート様ならもっと…直接的に…なあ?」


ちなみに「ヴィクトリーヌ様」というのは、


皆がヴィー様をそう呼んでいるだけですわ


と言うか最後の声の主はちょっとあとでお話をする必要が


…後があれば、ですが


いつもは殿下の声を聴くのに周囲の声を気にしていなかったような気がしますが


わたくしを擁護する声が聞こえてきます


ああそのような声もあったのですね


今までの行動では無かった声なのかもしれませんが


皆様のお気持ち…嬉しく思いますわ


それでも…


「何か言い分はあるか」


舞台は何も変わらず進んでいくのです


今回はヴィー様とは別行動を取りましたもの


途中で声を上げられることはありません


そうなるともう台本通りに進むだけなのでしょう


「わたくしは、何も 存じ上げません」


それだけ言うと


「もういい。これ以上の弁明は不要だ」


殿下の声が、わたくしの言葉を切り捨てました。


そんな時、扉が開く音とともに


赤いドレスの令嬢が慌ててわたくしに向かい駆けてきます


「エリー!どういう事よ!」


わたしの思考が長かった分、舞台がずれ込んだのでしょうか


思ったより早くヴィー様が登場されます


会いたかった…


でも、お会いしたくはなかった


「ええ、大丈夫ですわ、ヴィー様

 きっと何かの間違いでしょう

 わたくし、身に覚えがありませんもの」


「そうですわよね、エリー

 あなたの身の潔白は常に貴方と共にいたわたくしが証明できます

 少しお辛いかもしれませんが、必ずお救いいたしますわ」


そのお気持ちはうれしくもあり、少し申し訳なく思うのです


わたしはもう何度も繰り返し、


何もするつもりもなく

 

このまま次の繰り返しに進むだけの儀式でしかありません


でも、その都度ヴィー様…記憶は引き継がれないとしても


お辛い思いをさせてしまうことはやはり堪えます


「ありがとうございますわ、ヴィー様」


そう言って今回は最後になるだろうそのお身体を抱きしめるのです


…これは役得ですね


「エリー…」


名残り惜しいですけれどヴィー様と離れ


「では行きますわよ」


近寄ってきていた護衛の者に掴まれる前に


会場を後にしようと歩みを進めるのです




###############################




「と、言うのが前回ですわ」


…柔らかい。


と言う感想を言う間もなく


目覚めて部屋に入ってきたアニーに説明したのですが


「いえ、面白くはありましたし、少し物悲しくもあり

 よくできたお話?夢ですか?」


「あなたこの話を聞いてもまだ正体を表しませんの?」


「正体と言われましても…ただのメイドですし」


「あなたが前回言ったのですよ楽しむと」


「そんなこと私に言われましても

 お嬢様の話で考えると

 その私は私じゃない私じゃないですか」


「ええい、ややこしい言い方をするんじゃありません!」


「そう言われましても、

 お嬢様も憶えてますよね?私が連れてこられた時の事」


「ええ、それは覚えていますが、

 だからと言ってあなたが嘘を言っていない証明にはなりませんわ!」


「ええ、どうしたらいいんでしょうか…」


「そうですわね…」


わたしも正直どうしていいものやら…


「それよりお嬢様、もう朝食のお時間もありませんし

 支度しませんと、学園にも遅れますよ」


「それはいけませんわね、早く準備しませんと」


「馬車で何かつまめるようなもの用意しておくように先に伝えてきますから

 お嬢様、着替えだけでもお一人でお願いしますね」


「仕方ありませんわね」


「旦那様方にも夢見が悪かったので

 朝食の場に出られず申し訳ありませんでしたと

 そう伝えておきますよ」


「ええ、お願いしますわ」


「何度も言い訳に使えると思わないでくださいよ、夢」


「わかってますわ、早くいきなさいな」


そんなに使ったかしら、夢


何処か納得いかない気持ちで着替えをすますと


アニーも戻ってきたので手早く髪のセットを済ませ


学園へ向かう馬車に乗り込みます


まぁいいですわ、


学園に行けばまたヴィー様との新しい日々が待っていますもの


今回はどのような事を…ふふふ


楽しみですわね、わたしにはそれで充分なのです




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