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第4章 変わらぬ断罪 第2節



第4章 変わらぬ断罪 第2節



……柔らかい。


最初に感じたのは、そんな感触でした。


……少し、寝過ぎたかしら



目が覚めるとベッドから身を起こし


周囲を見渡してみます


ええ、そうですわね


そうなりますわね…


でも叫ばずにいられません


「またですのっ!!!」


「もう!まったく!!」


「どうなってますのよ!!」


「なんだかこう、

 万来の拍手の中、幕がゆっくり下りるように」


「悪役令嬢としてやり切った感じでしたでしょ??」


「わたし演じきりましたわよねっ!」


そう一人で叫んでいますと


コンコンっと扉が開きます


「おはようございます、エリザベート様」

「なんだかすごい声が聞こえてきていましたけど…」


「アニーっ!!!」

「あなた!どういうことですのっ!」


見覚えのあるメイドが部屋に入ってくると


思わず手元にあった枕を投げつけるのでした


「げふっ」

「何するんですかお嬢様っ」


「何をするはこちらの台詞です、さあ、吐きなさいあなた何を知ってますのっ!」


ベッドから飛び起きアニーに詰め寄ります


「お嬢様名前…えへへ」


わたしが名前を呼んだことの方が嬉しかったのか、はにかんだ笑顔でそう言います


「あなたアニーで間違いありませんわよね?」


どう見ても過去?に会ったアニーと瓜二つですもの違うことは無いでしょう


「はい、アニーです、お嬢様に名前を呼んでいただけるなんて、えへへ」


「そのやり取りはもういいのですっ!

 それで、あなた何か知ってますわよね?

 あなただけ毎回変わらないなんておかしいですわよ!」


「あの、お嬢様のおっしゃっている意味が分からないのですが…」


「あなたが犯人!…いえ、一介のメイドにそんなことが…

 まさか、ただのメイドと見せかけて実は…と言う事も?」


「お嬢様、また変な夢でも見たのですか?」


「また?またと言いましたわね。

 やはりあなた、わたしがおかしな夢に囚われていることを知って」


「いえ、知りません、何のことか本当に知りません」


怪しいですわ、この慌てよう


こうなったら捕まえて洗いざらい吐かせるしか


じりじりとアニーに近寄り、捕まえようと手を伸ばすと


「ひーごめんなさいー」


そのまま振り向き扉を出て逃げ出すのです


「まちなさい!アニー!」


わたしから逃げようなんて許しませんわ


そのままわたしも部屋を出てアニーを追いかけるのでした


ええ、寝間着のまま、屋敷の中を



##################################



「エリー、元気な事はいいことだけどね

 うん、すこし、お転婆が過ぎるのではないかな?

 最近は、淑女としての行いが身に付いてきていたように思ったのだけど」


「そうですわよエリー、屋敷の中を走り回るなんて、

 もう子供の頃とは違うのですよ?

 しかも、寝着のままなんて、はしたない」


間違いなく両親でしょう、

怒っているはずの言葉の中にも優しさがあふれ出ています


「それで、メイドが何かしたのかい?

 問題があるなら他の者に変わるように言っておくが」


父がそう言いますが、監視のためにも


アニーを専属から外すわけには行けません


追いかけ回したせいか、


いつもは居るはずのこの朝食の場には控えてはいませんが


「いえ、少し夢見が悪くて

 わたくしの勘違いで、アニーを責めてしまっただけですから

 彼女にはそのままでいいと、お願いいたしますわ」


この言い訳も何度目でしょうか…便利ですわね夢


「わかったよ、

 まぁ、何か問題があるなら言いなさい、

 メイド長にも言っておくからね」


何とか納得していただけたみたいでほっと胸をなでおろします


その後もお小言は続きましたがわたくしが黙っていたことで


神妙な態度に思われたのか


朝食を食べ終わるころには終わりました


…考え事をしていただけなのですが


食堂を出る際控えていた別のメイドに、アニーに戻るように言付け


学園へ向かう身支度のために自室へ向かいます


部屋に戻る途中でアニーも追いついてきました


「先程は申し訳ありませんでした」


支度の途中に声を掛けます


「いえ、私が何かしてしまったのかと…

 急に逃げ出し申し訳ありませんでした」


「謝らなくていいですわ、

 わたくしが少し…勘違いをしてしまいまして」


「そうですね。お嬢様ですものね」


なんだか納得したような表情で言うのです


「…どういう、意味かしら?」


「いえ、あの、昔のお嬢様らしかたったかなーって」


そう言えばわたくしがまだ幼少のころ

 

いくつか年上のアニーが


将来の専属になるようにと、連れてこられたのでしたわね


しかしルチアとノエルも…またお名前変わるのでしょうか


言ってましたけど昔のわたしとはいったい…


「さ、お嬢様出来ましたよ」


鏡に映るわたくしは、もう、悪役令嬢ではないのですね


少し癖の付いた髪を編み込んだ特に特徴もないものでした


…少し寂しいですわね


「どうかしましたか?たまには違う髪型にでもしてみます?」


「いえ、このままでいいですわ」


そうして支度を済ませ


学園に向かう馬車に乗り込みます


なんだか先日?目が覚めるまでがいろいろあったせいで


少し疲れますわね


…決して朝から屋敷中を走り回ったせいではありませんわ


また始まるのですね


朝のドタバタから少し落ち着いたのか


ようやく冷静に考えることが出来そうです


あの時、会場を後にして…


やはりそこからの記憶は何処かもやがかかったように


はっきりと思い出すことが出来ません


でも…いつもの流れでしたら


断罪され…幽閉され…その後…


何度考えてもこれ以上の記憶が思い出すことが出来ずに


分からないことに対してすこし体が震えます


思い出されるのは幽閉された処まで


それ以降の記憶はどうしても思い出すことが出来ないのです


処刑…されているのでしょうか


そして死と同時に繰り返している…


それか…幽閉中に眠らされて


ここと似た別の場所に連れていかれ


同じ脚本で配役と名前が違う芝居を演じさせられている…


あり得ないと思うのですが


なんだか死んでやり直していると考えるよりは


役者の入れ替わったお芝居に紛れ込んでいる


そう考える方が少し納得できるところもあるのです


でも、この学園…いえ、見えている街そのものも?


何処かに作り直した場所がある…


しかもそれはわたしがやり直している数だけ


ふふっ


さすがにそれは無いでしょう


いったい何のため


それに、それでしたらもう半年を何度も繰り返しているのですから


少しくらいわたしの体も成長とかあってもおかしくないでしょう


もう16とは言えまだ成長はするはずです、いろんなところが…


馬車に揺られ


沈みかけていた思考が


突拍子もない発想に引きずられ


いつの間にか、少し浮いてきたのでした




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