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第3章 断罪の前日 第6節



第3章 断罪の前日 第6節



学園に向かう馬車に揺られる道中


今朝、両親には休むように言われましたけど


あまり覚えていませんが睡眠は十分とれていたようなので、


少し体の動きが鈍いくらいです


むしろ体を動かしていたいとの


わたくしの言葉に理解を示していただけました


こちらの両親にもいつも心配をおかけして申し訳なく思います


しかし、食事も無意識でとっていたとのことですけど…


もったいないですわね…おいしいものはきちんと味わって頂きませんと。


まずは学園で、そうですわ、


この目覚めの時に思いついた日記をつけていくことにいたしましょう


どうにもわたくしは覚えがいいはずなのですが、


同時にあまり興味と言いますか…


関心の持てないものの記憶と言うものに自身が無いもので、


もう少し周囲に関心をもっていかなくてはなりませんわね


それにわたくしひとりでは覚えていないことも


誰かにお手伝いいただくというのも…でも誰に…


そのような事を考えながら車窓から外を眺めていますと


…あの広場の奥に見える大きな建物が確か劇場でしたわね


そう言えば昨日ソフィ様がチケットがどうとか


まぁチケットぐらいは言えば何とでもなるのでしょうが


そうですわね、少し気分転換に本物のお芝居などを観るのも…よいのかもしれません


そうですわ、せっかくですので昨日おっしゃてらっしゃった悪役令嬢?と言うものもいいかもしれませんわね


ソフィ様はお芝居を見慣れておられるそうですから


御一緒してご説明していただくのもいいかもしれませんわ


そうですわね、そうしましょう


お芝居と言うものを少し楽しみに、わたしの心も、わずかに前を向いたのです


その後ソフィ様がどうなるのかは考えずに



#####################################



「と、いうわけなのですが、

 いかがでしょう?ソフィ様」


クラスの自分の席に座り、お隣のソフィ様にお話しかけます


「え?なにが、と言うわけなのですか?

 あ、いえ、おはようございます、エリザベート様

 あの?お身体の方は…?」


最後の方は少し小声でしたから、周囲に気を使って頂けているのでしょう


「あ、説明を忘れていましたわね

 少しお芝居と言うものに興味を持ちまして

 でもわたくし、観劇などしたこともなかったもので

 よければソフィ様にご一緒してもらって、いろいろご指導いただければと」


「わ、私がですかっ!?」


「ええ、もちろん。他にいませんわよ?」


「いえ、でも、エリザベート様をご案内するとしたら。

 最上級のVIP席などになるもので、

 私はとても足を踏み入れることは…」


「あら?そうなのですか?

 わたくし特に席にこだわりはありませんから

 いつもあなたが観覧されているような席でよろしくてよ?」


「いえ、さすがに公爵令嬢様を普通の席にご案内するわけには…」


「あ、いいこと思いつきましたわ」


「嫌な予感しかしませんが…あ、ごめんなさいっ」


「ふふふ、それはですね、わたくし、

一度お忍びと言うものがしてみたかったのです」


「…」


いい考えだと思ったのですけど、ソフィ様が黙ってしまいましたわ


「服装などは…制服では…駄目ですわよね?

 そうだっ、ソフィ様の商会には、服飾などは取り扱いありませんの?

 お世話になっていますもの、一度ご両親、商会の方にもご挨拶などにお伺いした方が」


「いえ、やめてくださいっエリザベート様がうちの商会に来られるとなったら、

 たいへんなことになりますっ!」


「…そうなのですか?

 でも、そうですわね…ご迷惑をおかけするつもりはありませんので…

 でも困りましたわね」


そうしているうちに授業開始の鐘が鳴り、一限目の歴史の授業が始まります


「続きはまたランチの時にでも…」


「…はいぃ」


彼女の受難は続くのです



############################################



「と、いうわけで、何かいい案はないかしら?」


「お嬢、何が、というわけなんだよ?」


「エリ様飛ばしすぎ」


「…」


ソフィ様はなんだか黙ってしまわれておりますが…


午前の授業が終わると、お昼の休憩にサロンへ移動します


「ええ、お芝居を見に行きたかったのですが

 ソフィ様と一緒に見ようと思うといろいろ準備が必要になるらしくて…」


「あぁ。お嬢が普通に劇場行くとなると、 

 間違いなくVIP席に案内されるだろうからな」


「そうなのですわ、今朝ソフィ様もそうおっしゃるので

 何かいい案を、と

 わたくしとしては、

 一度お忍びというものをしてみたかったので」


「お嬢が?お忍びで?っは~そりゃ、ソフィ嬢もこうなるわ…」


そうなのです、先ほどからソフィ様は


ぶつぶつ独り言をつぶやきながら小刻みに震えておられるのです


その割には、きちんとランチはお召し上がりになられているのですが


「どこかで、庶民のお召し物に着替えて、

 こっそりと行けましたらと思ったのですが…

 それも難しいと言われまして…困っているのです」


「さすがにそれは難しいだろ、

 バレた時に劇場の支配人がどうなるのかわからないから

 やめとけ?な?」


「支配人が、ですか?」


「最悪、これ…だからな」


ルチアが自分の首に手を当ててトントンと…


そのしぐさに少し震えが起きますが


わたくしも…もしかして…いえ、今は違う話ですわ


「それは、かわいそうですわ」


「だったら、少しだけ変装して貴族用の個室なんかで見た方がいいだろ

 私とノエルも付き合うから、

 ソフィもうちらが借りれるくらいの個室なら問題なく入れるからさ」


「そうですわね、なるべくばれないようなドレスにいたしますわ」


「うんそれも、うちらが確認しに行くからな、お嬢に任せとくと…」


「私もドレス見る」


二人が協力的で助かりますわ


「ふふ、でもお嬢が庶民の服でって、あはははっ」


まったく、こちらは真面目に話していましたのに


「ごめんごめん、でも楽しそうだから、協力はするよ

 芝居中は…寝ちゃうかもだけど」


「私はちゃんと見る」


「ふふ、楽しみですわねノエル」


今からわくわくしてきましたわ


「ソフィ嬢、それなら問題ないだろ?

 こっちからも手を回しておくからさ」


「ひゃい!だいじょうぶでっす!」


ようやく意識を取り戻したのかソフィ様が返事をなされます


「わるいなぁ、面倒かけて」


「いえ、私もエリザベート様と御一緒できるのは楽しみですから」


ルチアがソフィに声をかけてくれていますが


あら、ソフィ様も楽しみにしていただけるなんて嬉しいですわね


そうだわ、


「せっかくなので、あの、悪役令嬢?というものを見てみたいのですが」


「あ、ちょうど今、やってますっ!、

 昔に流行ったやつを、また再演しているみたいで

 なんというか、いかにも悪役令嬢って感じのお芝居みたいですよ」


「まぁそれはとても楽しみですわね」


いったいどんなお芝居なのでしょうか、楽しみで仕方ありません。


そうして、数日が立ち観劇の日


心配していたような問題もなく幕は上がるのでした。




############################################



その日


わたしの中で、


さだまらなかった何かが、しっかりとした形を持ったのです


あぁ……

あれが、悪役令嬢……


なんて凛々しく素敵な


そうそれはまるでヴィー様、


ヴィー様そのものではないですか


この世界では会えないと思っていましたのに


このような形で、お会いできるなんて


それもこんな素晴らしいお芝居の中で


ああ、これこそが悪役令嬢というものなのですね


たとえわたしの知っているヴィー様本人ではなくっても


あれは生き写し以外の何者でもないでしょう


「お嬢、大丈夫か?」


「エリ様上の空」


「でも喜んでもらえたみたいでほっとしました」


「いや、あれ…喜んでるのか?なんか違わないか?」


相変わらず失礼な


「あなたたちに、悪役令嬢の素晴らしさと言うものを

 教えて差し上げないといけないようですわね」


「勘弁してくださいよぉ、お嬢」


ええ、わかりましたわ


わたしに足りないものがここにあったのですね


見ていてくださいましヴィー様


わたしは、


抗って見せますとも


何が起ころうと、気丈に凛々しく


あなたの様に、振る舞ってみせますわ





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