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第3章 断罪の前日 第2節



第3章 断罪の前日 第2節


……柔らかい。


最初に感じたのは、そんな感触でした。


……少し、寝過ぎたかしら


目を開けると、視界いっぱいに広がるのは、白い天蓋。

見慣れたようで、けれどどこか違う装飾。


ふう、以前の装飾の方が好みでしたわね…


わかってますわ、わかっていますのよ


これはあれでしょう、また繰り返すのでしょう?


3度目に…なるのかしら?


いくらわたくしでも、もう慌てませんわよ


ふふ、どうしてこうなっているのか


さっぱりわかりませんけれど


何度も起こればこういうものだと、思うことは出来ますわ


そのような事を考えていますと、


コンコンと、扉が控えめにノックされます


「お目覚めでございますか、エリザベート様」


入ってきたのは、

やはり……知らない方…あら?


知らない…?


いえ、どこか見覚えが…


職務に忠実ですが、話すと柔らかい笑顔を浮かべ親しみやすい…


「あの…もし…あなた…」


「どうかなさいましたか?」


「えっと、あなたの…そう、名前。名前は何だったかしら?」


「え?お嬢様…今まで私共の名前なんて気にされていなかったのでは…

 あ、いえ、申し訳ございません」


…なんだか聞き覚えのある返答のような気がしますが


まさか、ありえませんわね。


いえ、あり得ないということが、


あり得ないとも、言い切れないのかしら?


…まったく、混乱いたしますわ


「わたくしの思い違いなら、申し訳ないんですけど」


きっと似ているだけでしょう


「お嬢様、そんなにかしこまれないでください」


「…たしか、アニー、だったかしら?」


違ったら、いえ違う方がいいのかしら…


「あら、ご存じいただけたのですか、光栄です」


どういうこと?


どういうことなんですの?


「どうなっていますのよっ!!」


思わず叫んでしまいました…


「お、お嬢様!?」


「なんでっ!あなたがっ!いるのですかっ!」


「も、もうしわけございません、すぐに別の者にっ!」


突然叫びだしたわたくしに、何度も頭を下げるようにして言います


「いえ、違うのです、あなたじゃ…いえあなたなんですけど…」


ややこしいですわね


「あの…大丈夫ですか?お嬢様、お加減でも?」


「大丈夫ですわ、ちょっと夢見が悪かったものですから…おほほほ」


とりあえず夢のせいにしておきましょう、この言い訳も何度目かしら…


「そうなんですか?大丈夫とおっしゃるなら、いいのですが、

 一応、旦那様には伝えておきますよ?」


「まちなさいっ!こほんっ、余計な心配をかける必要はありませんから

 あなただけの胸にしまっておく事、いいですわね?」


「えへへ、ひみつですね。かしこまりました」


なんだかうれしそうにして…悔しいですわね


「それより、朝の支度をお願いしたしますわ、少し時間が過ぎてしまいましたから」


「ええ、食堂で皆さんお持ちになられていますよ」


「では、いそぎましょう」


「はい」


アニーと言ったわね、この前の夢でもアニーだったはず、


さすがにそれは、おぼえているわ


外見もそれほど詳しく覚えているわけではないけれど、


髪の色や髪型、瞳の色まで同じはず


こんなことなら、もっと詳しく覚えておくんだったわ


そんなことを考えている間に


「支度できましたよ」


わたしが考え事をしていても、


いつの間にか支度を終わらせるこの有能さも、


アニーで間違いないですわ…


まさか彼女も夢を?


「…お嬢様?」


いえそうなると、彼女にも繰り返している記憶が無いとおかしいわね、


「食堂にいきますよ~」


こんなにふうに普通に過ごせるものでしょうか


「もう、また考えごとに集中して~」


いえ、彼女も知られないように様子をうかがっている可能性も


「このまま引っ張ったらついてくるかしら…」


そうなるとほかにも、同じ体験をしている人がいる可能性もありますわね


「あ、歩いた、いいか、このまま連れて行けば、途中で目が覚めるでしょ」


そうするとどうやってそれを確かめるのかが…


あら?


わたくし部屋にいたと思ったのですが…


気が付くと食堂の扉の前でした


「つきましたよ、さすがにここから引っ張て行くわけにはいかないので、

 ご自身で歩いてくださいね~」


「え、ええ、わかってますわ」


そのまま、アニーに扉を開けてもらうと


両親、ですわね、弟はいないみたい、


そうですわね、一度に大勢に会うより、まずは一人ずつ確かめていくほうがいいですわ


「おはよう、エリー、遅かったね、料理が覚めてしまうよ」


「おはようエリー、身体の調子でも悪いの?無理はしなくていいのよ」


このおふたりも、話をする限りは両親に間違いは無いのでしょう


しかし、アニーと違い、いつも通り…いつも通りと言うのもおかしいのですが


容姿や声は違います


「おはようございますわ、ええ、少し寝過ごしてしまって」


後ろに控えるメイドがなんだか笑っているような気配はしますが…


「まぁそういう日もあるだろう、王妃教育も本格的になってきたようだし

 疲れが溜まってきているんじゃないのかい?」


「そうですわ、わたくしの方から王妃様に

 少し休みするようにお願いしておいてもいいのですよ?」


両親の気遣いもおなじです、


同じだけに、疑わなくてはいけないのが少しつらく感じます


「いえ、すこし昨夜は夜更かししてしまって」


昨夜と言うのがいつになるのかわたしにはわかりませんが、


当たり障りのない答えを返します


「それならいいのだが…卒業まであとすこしだろう?

 たまには休んで、家で寛いでいてもいいのだよ?

 そのくらいで、成績が落ちることもないだろう、

 それに少しくらい落ちたところで、誰も何も言わないさ」


父のとても魅力的な提案なのですが、


アニーの件もありますし、学園に行って確認するのが先ですわ


「体調が悪いわけではありませんので、食事が終われば学園に向かいますわ」


そう言うと両親も納得していただけたようで、


その後は食事にもどります



##############################


先に席を立った両親のあとに、


身支度のために、部屋へ戻ります


席を立つときに控えていたアニーをひと睨みして、


食堂の扉をくぐります。


…後ろで何か笑い声が聞こえたような気もしますが。


登校の支度を終えるとそのまま馬車に乗り学園に向かいます


馬車に揺られ、車窓から外を眺めますが


やはり今回も、町の配置は同じようで、


建物全体の色であったり、装飾などが違うようです。


こんなことならもっときちんと覚えておくのでしたわ…


さすがに町中すべては無理でしょうけど


日常を過ごす学園や学友の事であれば観察もしやすいでしょうし


何かいい方法が…


メモか何かを、


あ、そうだわ、日記、


日記をつけるのはどうでしょう


その日に有ったことや、出会った方などの事を詳しく書いていけば


次にまた夢に迷った時も


日記を見れば差異が分かりやすいですわ


それに…殿下の言われたことも…


罪状を挙げられた時に、違うと、そう言えるように…


ふふ、でも今は考えるのはよしましょう


この夢でのヴィー様はどのような方でしょう、


やはり、金髪縦ロール、そこだけは外せないでしょうね。


…とてもお似合いですもの


わたくしもあのように…


いえ、それはわたくしの役割ではないわね


わたくしは、公爵令嬢エリザベート・リヒテンフェルトなのですから



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