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[完]“ね”の物語  作者: あいみ


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1/3

ねずみのはなし

 むかしむかし。ずーっとむかしのことです。


 かみさまは言いました。


「新年の朝に、わたしのところにあいさつきた、1番から12番までの順番をつけて、1年交代で、その年を任せてあげましょう」


 それを聞いた、それぞれの動物のおさは、若い動物たちを、かみさまのもとに行くようにめいじました。


 うしさんは足がおそいので、前日の夕方に出発していました。


 朝、太陽がのぼりきる前。

 それぞれの動物が、かみさまのもとに、走りだします。


 体のちいさなねずみさん。

 おさに言われて、いちもくさんにかけだします。


「うしさん、うしさん」


 前日に出発したうしさん。


 とっくに先頭を、追い抜かれていました。

 すっかりあきらめていたうしさんに、ねずみさんが声をかけます。


「こっちだよ」


 ねずみさんは、かみさまのもとに行く、近道を知っていたのです。


「どうして、教えてくれるんだい?」


 うしさんは、聞きました。


 どの動物も、われさきにと、ほかの動物には目もくれません。


 なのになぜ、ねずみさんはうしさんに、近道を教えてあげるのか。


 うしさんは警戒しています。


 ねずみさんは、言いました。


「うしさんが、1番になったら。きっとみんな、おどろくよ、そしたらきっと、うしさんのことを、バカにする動物はいなくなる」


 そうなのです。うしさんは、足がおそいことから、ほかの動物に、いつもバカにされて、笑われていました。


「さぁ、はやく。ここを行けば、うしさんが、1番だ」


 うしさんは、ねずみさんの言葉を信じました。


 ねずみさんを頭の上にのせて、かみさまのもとに向かいます。


 「さぁ、うしさん。かみさまの、おやしきについたよ」


 近道は、ほんとうに近道でした。


 ふりむいても、まだほかの動物はいません。

 2匹が1番のり。


 「ねずみさん。ありがとう」


 うしさんは、お礼を言いました。


 「いいんだよ。さぁ、はやくいって」


 うしさんは、くびをフイッとふりました。


 頭に乗っていた、ねずみさんがとばされて、なんと!1番にゴールしました。


 続いて、うしさんがゴール。


 ねずみさんは、なにがおきたのかわかりません。


 「ねずみさん。ほんとうに、ありがとう。きみのやさしさは、とてもうれしかったよ」


 空のように、晴れ晴れとした顔でらうしさんは、言いました。


 バカにされるだけの人生で、うし仲間以外に、こんなにやさしくされたのは初めて。


 1番じゃなくていいのです。

 うしさんは、ねずみさんのきもちが、うれしかったから。


 心がぽかぽかしたのです。


 太陽に照らされているかのように、あたたかくて、こんなにも自分のことを考えてくれた、ねずみさんに、恩返しをしたくなりました。


 立派なものをもらったのに、うしさんには、返せるものがありません。


 うしさんは、考えました。


 この気持ちは、どうやったら伝わるのか。


 そして、思いついたのです。


 年の始まりは、ねずみさんであるべきだと。


 これは、恩返し。

 近道を教えてくれた、お礼ではありません。


 「よくきたね。さ、これをうけとって」


 かみさまは、光る石をくれました。


 ほかの動物たちがくるまで、やしきの中で待っているようにと、言いました。


 2匹は、くびをよこにふります。


 ほかの動物を、ここでまつと言います。


 すこしおくれて、動物たちの姿が、見えはじめました。


 最初はとらさん。


 その後ろには、うさぎさん。


 りゅうさんが、空を飛んできます。


 へびさんが、草の根からあらわれました。


 風をきって、うまさんが走ってきます。


 ひつじさんは、汗をかきながら到着。


 おさるさんと、いぬさんは、ぼろぼろでした。

 途中で、けんかをしたようです。


 ですが、仲直りをしたのか2匹は、ならんで走っています。


 2匹仲良くゴール……ではありませんでした。


 2匹のあいだを、にわとりさんが走ってきます。

 ものすごいスピードです。


 にわとりさんは毎日。朝を知らせるのが役目。

 ほかの動物よりも、でおくれていました。


 にわとりさんの、いきおいにおされて、おさるさんの足が先についてしまいました。


 その次に、にわとりさん、いぬさん。



 とんでもないことを、してしまったと、にわとりさんは、2匹に謝りました。


 でも、2匹はま怒りません。


 これは、競走。12番までに、到着しなければならないのです。


 最後に、いのししさん。山から一直線に、ここまで走ってきました。


 さぁさぁ、これで。12匹の動物が、そろいました。


 動物たちは、かみさまのあとをついていき、やしきの中に入っていきます。


 ねずみさんは……ただじっと、そこから動きません。

 だれかを待っているようです。


 「ねこさん。どうしてこないんだい」


 ねこさんは、足がはやいです。

 お祭りが、大好きです。


 この集まりに、参加しないわけがありません。


 「ねずみさん。どうしたんだい。はやく、いこう」


 うしさんに、声をかけられました。


 ねずみさんは、何度もふりかえります。

 ですが、そこにねこさんの姿は見えません。


 新年を迎えて今日は、宴会が開かれます。


 12匹の動物と、かみさまでおこなわれる、特別な宴会。


 それは、たのしい宴会。


 ねずみさんだけが、かなしい顔をしていたことに、だれも気付きませんでした……。

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