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Skull Head~ある天才の告白 ― カミノニクタイ

作者: 武無由乃

 私には妹がいた――。

 昔から病弱で寝たきりだった彼女は、両親がいない私にとって何より大事な存在だった。だから、私は皆から羨まれる頭脳を妹のために捧げた。彼女の幸福な未来こそが私の目指す目標だった。

 私ははじめ医療を学んだ、無論妹の病を治すために、だ。しかし、医療を学んだ事で妹の病が相当深刻である事実を理解した。だから、私は次に義体技術を学んだ、義体にしないまでも機械で身体をサポート出来ればと考えたからだ。

 いつの間にか私はその道の権威と周りから呼ばれるようになっていた。

 でも私は名声などどうでも良かった。私の力で妹が日に日に笑顔になるのが何よりの幸福だった。


 しかし、あの日全ては無になった。


 テロリズム。

 赤き血潮の輪の結社(Association of the Circle of red blood)。

 某国のクローン犯罪から過激化し始めたエコロジストテロ組織。クローンを許さず、関連の医療技術をも敵視し、人の地位を脅かすアンドロイドにまで暴力の矛先を向ける愚か者ども!

 医療の最先端だった妹の病院。私の働く病院は、標的となって、そしてあの地獄が生まれた。


 私は妹を必死で探した。身体が傷つこうが、死にかけようがどうでも良かった。妹に生きて笑っていて欲しかった。

 でも、それは全て――、全て――。


 私は瓦礫の中で、肉塊になった妹を見つけた――。


 ああ、その時の私の想いは誰が理解出来よう!

 その悲しみ、絶望、怒り、憎しみ、今思えばあの時私の中のなにかが変わったのだろう。

 無論、かのテロ組織は我が生涯の怨敵となったさ。奴らが何を語ろうが、正当性を歌おうが、そして、例え奴らにも愛する家族がいようが、奴ら全て1人残らず地上から消し去ると誓った。


 そして、もう1つ私には目指す目標が出来た。

 死ぬことのない身体。私の心に生まれた死への憎しみが、神の肉体を目指す原動力となった。

 無論、それははじめの頃は漠然とした形のない希望に過ぎなかった、アレの発掘調査に関わらなければ、その先を考える事も無かったかもしれない。


 未来技術で出来た古代遺物。

 そうとしか形容出来ない人型のなにか。

 調査の果てにその正体を知り、私は政府の協力のもと、極秘裏にGF計画をはじめた。ソレを現代の技術で再現し、その技術そのものを獲得するため。

 そうして、君の前に立つこの戦術義体は生まれた。GF、すなわちカミノニクタイの再現をこの世に生み出すために。


 さあ、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎くん。

 君には、君をかつて救った私の、その夢を叶えるための協力者になって貰うよ。


 はじめよう――、GF計画を。


 <この記録は、日本国防軍情報部が仕掛けていた、盗聴器に記録されていた会話を文章に直したものである>

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