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長嶋茂雄氏追悼 「巨人 大鵬 卵焼き」から「個人主義」へ

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は長嶋氏のご冥福をお祈りすると共にその偉業と活躍した当時と今の差異や共通点について個人的な意見を述べていこうと思います。



質問者:

 2022年の「Qさま」と言うクイズ番組では長嶋さんについてZ世代の選手が知らないという事もあったみたいですね。



筆者:

 僕も野球はかなり好きな方ですけど、僕の親世代の子供の頃が長嶋氏が現役時代晩年と言う感じですからね。


 これも「時代の流れ」でしょうね。

「野球マニア」でも無ければ若い方は知らなくてもやむを得ないと思います。



質問者:

 具体的に選手としてはどのような成績を挙げられていたのでしょうか?



筆者:

 長嶋氏は立教大学卒業後1958年にプロ入りし1974年の最後まで巨人に在籍していました。プロ入りから引退まで17年連続でベストナインと言う唯一の記録を持っています。


 本塁打王2回、打点王5回、首位打者6回、最多安打10回と打撃に目が行きがちですが、全盛期はアグレッシブな守備や走塁で湧かせた万能選手でした。


 全ての数字が今の時代に登場しても遜色そんしょくない数字ではありますが、当時はリーグ平均打率が2割3分前後を推移しており、通算打率3割5厘と言うのはかなり傑出した数値だったようです。



質問者:

 今は日本人選手では大谷選手が突出していますけどそんな感じだったんですね……。



筆者:

 更にとてつもなく勝負強い選手だったようです。


 巨人は長嶋氏が現役時代に9連覇しましたが、その最大の原動力が長嶋氏でした。


 日本シリーズでは68試合に出場し、打率3割4分3厘(265打数91安打、100打数以上1位)、本塁打25本(歴代2位)打点66(歴代1位)91安打(歴代1位)MVP4回(歴代1位)と言う驚異的な数字を残しています。


 皇室観戦試合では通算10試合で打率5割1分4厘(35打数18安打)で7本塁打と注目された試合であればあるほど力を発揮したようです。



質問者:

 リーグトップチーム同士が対戦する日本シリーズでその成績はとんでもないですね……。



筆者:

 空振り三振をする際にヘルメットを吹き飛ばしながら三振をしたりと、三振をするだけで観客を沸かせるという稀代のスター性を持っていました。


 またキャラクター性もあり、得意満面に独特の英語の言い回しをしたり、

 息子の一茂氏を球場に忘れてきたりとエピソードも絶えませんでした。


 「ブン」「シュン」「ガッといく」と言った擬音を使った独特の指導法や、

 監督時代はデータに基づかないカンによる「カンピューター」を駆使した采配などもありました。


 こうしたことから長嶋氏は「ミスタープロ野球」と言う称号が付いたほどでした。


 長嶋氏がいなければ恐らくは今のようなプロ野球人気は無かったのではないかと思います。


(89歳で亡くなったり背番号の3の倍数の命日だったことも話題に)



質問者:

 なるほど、当時の国民的大スターだったわけなんですね……。



◇当時と今の決定的な違い



質問者:

 長嶋さんは50年以上前に大活躍されたわけですけど、当時と今の比較をしてもらっても良いでしょうか?



筆者:

 ここでは政治・経済や世相について当時と比較していきます。


 当時を象徴する言葉として子供に人気だった3つとして「巨人 大鵬 卵焼き」と言う言葉がありました。


 つまりプロ野球と大相撲と食べ物というわけですが、

 今そんなに子供に集中して愛されているコンテンツって無いと思います。



質問者:

 敢えて言うのであれば大谷選手は日本だけでなく世界的活躍をされて好感度も高いと思います。



筆者:

 ただ、それも巨人と言う「チーム」から大谷選手と言う「個人」へ移行していますからね。


 巨人は長嶋氏を中核としていましたが、王貞治氏や堀内恒夫氏と言ったスター選手もおり、森昌彦氏、柴田勲氏、土井正三氏と言った脇を固める選手も強力でした。


また、当時は地上波は巨人戦しか中継されず「ある種の洗脳」によって「巨人と言うチームが好きだった」と言う可能性もあります。


 しかし、情報化社会や個人主義といった傾向が非常に強く、「絶対的にこれと言うチーム」と言うのは存在しないと思いますね。



質問者:

 なるほど……趣味の多様化とか言われていますものね。



筆者:

 それはすなわちメディアの多様化、自分で情報を収集できる時代になったと言えると思います。


 50年前は「テレビオンリー」だったものが、今はSNSを始めとする様々なメディアから自分の好きな情報を選ぶことが出来ます。


 

質問者:

 50年前との経済についてですけど、当時は高度経済成長真っただ中だったのに対して、今はゼロ成長の上に少子高齢化社会ですからね……。


 国としての勢いが全く違う気がします……。


 

筆者:

 今も手取りを増やす政策を展開すればまだ可能性はあると思うんですけどね。


 控除の金額を物価上昇に合わせて自動的に上がっていけば実質賃金が3年連続低下と言った悲惨なことにはなっていないと思うんです。


 「財源論」に基づいて徴収し、非課税世帯にしかお金を配らないという状況は国民に対して「政治への閉塞感」を与えていると思います。



質問者:

 確かに近年の投票率は50%前半ですからね……。



筆者:

 ちなみに高度経済成長時代は投票率70%を超えている状況でした。自民党への「信任投票」がほとんどだったのですが、それでも政治への関心は高かったわけです。


 しかし現在では20歳代投票率が33.99%(かつては60%台、30歳代投票率が44.80%(かつては70%台)と若者世代ほど低い傾向にあるわけです。


 「政権交代してもどうせ増税だろ?」と言った諦めの雰囲気すら感じられます。確かにそう言った性質もあるとは思います。しかし、白紙委任状(投票に行かないこと)を渡してしまえばさらに暴走は増長し、更にやり易くなるために危険であると考えます。



◇50年前と今の似ている所



質問者:

 逆に50年前と今とで似ていることって何でしょうか?



筆者:

 高度経済成長期というと「所得倍増計画」が挙げられますけど物価の上がり方も60年代は毎年5%以上と尋常ではありませんでした。


 そのことから「卵焼き」の卵は物価の優等生と当時から言われており、恐らくは頻繁に食卓に出てきたことから子供に人気があったのだと思います。



質問者:

 今は2,3%の物価高でも苦しいのですが……その倍もあったのに大丈夫だったんですか?



筆者:

 当時は賃金の上がり方も毎年10%のベースアップがあったので大丈夫だったようです。


 今は実質賃金が22年から3年連続マイナスの有様ですからね。


 それは苦しくて当たり前です。

 

 辛うじて何とかなっているのは「コロナ自粛」による貯金があったからで、それを崩してしまったご家庭は生活レベルを下げているか困窮しているに違いありません。


 今なら6%ぐらい国民全体の賃金が上がらないと高度経済成長期に近い様相にはならないでしょう。



質問者:

 なるほど、やはり賃金の伸びや手取りの問題なんですね……。



筆者:

 それもこれも消費税導入以降賃金が上がらなくなってしまったのです。


 消費税は給料による控除(減額)が無く、代わりに非正規雇用や派遣の外注費であれば控除の対象になるという狂気の税制であり、自然と「派遣で良いか」という流れになってしまうのです。


 また、所得控除の水準が物価高に合わせて上がらないことから「馬車馬のように働いている」と言う有様なんです。


 結局のところ政治の失敗が国民生活を困窮させていることに他なりません。



質問者:

 国の制度が最大の足枷って悲しすぎます……。



筆者:

 その後の長嶋氏が引退した1974年には「第一次石油危機」を皮切りとして消費者物価指数23%を記録しており「狂乱物価」とまで呼ばれ行動経済成長期も終わりを告げました。


 あの当時と共通しているのは戦争によるエネルギー価格の急上昇から経済の転換点になったことです。


 やはり、太平洋や東シナ海に眠っている海洋資源の開発などエネルギーを安定して自給できる体制を作っていかなくては世界情勢に振り回されてしまう事になります。



質問者:

 海洋資源開発する気配が無いですよね……。

 


筆者:

 恐らくは中国などに忖度しているんでしょうね。


 当時ともう一つ共通しているのは環境問題でしょうね。


 60年代には「水俣病」などを始めとする「四大公害病」がありました。


 今も原子力発電所の処理水問題、廃炉問題。太陽光発電パネルの問題、PFASなどの水質問題などが話題に挙がっています。


 これらも取り組んでいないわけでは無いでしょうけど、イマイチ話題や争点になりにくい事案なので個人的には危惧しています。



◇今は日本が浮上できるか沈没するか瀬戸際――カギは……



質問者:

 良いところは共通していなくて悪い所だけが共通しているってなんだか悲しいですね……。

 これから日本が良い方向に進んでいくためにはどうしたら良いんでしょうか?



筆者:

 良くも悪くも日本は「ガラパゴス」の状態であり「外国の影響」によってそれまで盤石だった政権が一気に崩壊したイメージがあります。


 260年続いた江戸幕府が倒れたのもペリー来航からでしたし、

 戦前の軍国主義も敗戦で壊れました。


 戦後も朝鮮特需を大きなきっかけとして高度経済成長に突入しましたし、

 バブルの始まりもプラザ合意(ドル安誘導)、崩壊もハーゼル合意(銀行の自己資本比率規制)でした。



質問者:

 確かに日本の大きな転換点は外国の影響が大きそうですね……。


 そうなると今回の破天荒な「トランプ関税」は何か影響しそうですか?



筆者:

 正直なところ今回の関税対抗手段で劇的に日本が良くなるとは思えません。


 トランプ氏の問題にしている対日貿易赤字10兆円を打開することは今の挙がっている案ではどれも難しそうです。


 元々関税発表前の2月の日米首脳会談で上手いこと交渉できていれば何も問題なかったのに、「話題にすらしていない」と言う、とんでも無い悲劇がありました。


 しかしその指摘をマスコミはしてくれていません(日米首脳会談直後支持率はむしろ上がった)。


 マスコミは政権を守る提灯記事しか書いてくれず、

 現状のマスコミを崩して忖度が無い報道をしてくれなければ国民もそれに気づけず中々状況を打開することは難しいように思います。



質問者:

 関税への影響に対する経済対策も「今の延長線上」と言う感じがしますからね……。



筆者:

 ただ、大手広告会社である電通は東京オリンピックでの談合に加担したりしている件や、


 メディアにも「枕営業」があることが旧ジャニーズの一件で発覚しつつあるので徐々に信頼度は低下していると思います。


 ですがヤフーなど大手情報サイトは大手新聞社の1面に載るような内容しか無いので「オールドメディアの刷り込み」と言うのは静かに今も行われているとは思います。



質問者:

 あと少しと言う感じですね……。筆者さんがおっしゃる通り気づいた人から発信していかないといけないという事ですね……。



◇長嶋氏のように「与えられる人物」に



筆者:

 話は戻りますが

 動画配信サイトなどで長嶋氏の発言を聞いていると、

口調に非常にパワーがあり、周りに元気を与える存在だったように思います。


 僕はパワーを与えることは出来ませんが、自分の能力の範囲内で“他人に何かを与えられる人物”になれたらいいなと思いました。



質問者:

 元巨人の張本勲さんは


「芯は強いけど、柔らかくて優しい。あと、絶対に人の悪口を言わなかった。私も一度も聞いたことがない。一緒にいて楽しい人だった」


 と発言されている記事もありました。



筆者:

 そうですね。


 僕も「悪口」にならないようにちゃんとデータや事実に基づいて「政治家批判」をしていこうと思いますね。


 僕は昭和生まれでもない上に、昭和について全肯定しようとも思いませんが

 長嶋氏のような昭和を代表する有名な方が亡くなると寂しい気持ちになりますね。


 2004年に脳梗塞で倒れてからは苦しい日々が続いたのではないかと思います。

 

 改めてご冥福をお祈りします。安らかにお眠りください。

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