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束縛・支配していた者のその後

作者: 猫山 鈴

リクエストで

異世界転移したら魔王様に恋してしまいました〜幼馴染の束縛にうんざりします。私だって自由に恋したい!〜

 の白雪のその後を見たいという感想ありましたので書いて見ました。

 ドンドンドン

 「ちょっと誠!いるんでしょ!?開けなさいよ!折角心配で来てやったのに!」

 ある日の早朝。一人の制服姿の女子高生がある民家のドアを連打していた。


 その民家に住む男子高校生"白雪 誠"は自室でため息を吐いている。制服姿の少女とは違い部屋着だ。

 そんな誠の部屋に彼の母が入ってきた。

 「誠?"瑠夏ちゃん"迎えに来てくれたよ!?」

 「母さん!だから言ってんだろ!?俺はあんな女の子知らないって!」

 「知らないはないでしょ!?あの子は貴方の幼馴染なんだから!それに昔から面倒見てもらってだじゃない!

 ほら!元気なら早く着替えて学校行きなさい!いいわね?」


 母はそう強い口調で言ってくる。だが誠は譲れなかった。

 「だから!俺の幼馴染は"玲奈"!俺が面倒見てやんなきゃ何もできない幼馴染!」

 「玲奈って誰よ!?アンタ最近変な事ばかり言って!いい?貴方の幼馴染は瑠夏ちゃんだし面倒見てもらったのは寧ろ貴方の方!

 もう…どうしたのかしらこの子…」

 「あ!待って!」

 バタン


 母は一方的に言った後さっさと部屋から出ていってしまった。誠は頭を抱えた。



 誠は最近変な体験をした。よく小説で見る異世界転移という奴である。

 その際誠は"黒崎 玲奈"という本当の幼馴染と共に転移された。


 そこまでは良かった。だが転移先の国では誠は歓迎されて玲奈は追放された。何でも転移者が二人いた場合は片方が災いを引き起こすとか。

 誠は勇者と鑑定されたが玲奈は何もなかったらしい。


 これは誠の予想通りだった。昔から玲奈は鈍臭く人見知りの激しい性格。幼少時はよく一緒にいた記憶がある。

 そしてそれからの学生生活でも玲奈には彼氏はおろか、友人ができなかった。

 きっと玲奈の鈍臭さに嫌気がさすのだろう。ならば自分が玲奈の面倒を一生見なければならない。白雪はそう諦めていた。

 そうするしか玲奈が幸せになる道はないのだから。


 異世界転移前も玲奈は訳の分からないいちゃんもんをつけてきた。そう誠は感じた。

 だって友人ができないのも彼氏ができないのは玲奈の出来が悪いからだし、それでは他の人の迷惑になるから誠は寧ろ他の人に伺いを立ててスポンジ役をしていた。


 なのに玲奈が上手くいかないのは最早救いようがない。そんな救いようがない玲奈を仕方ないから救ってやろうと誠は考えていた。だから玲奈のまるで全てが誠のせいのような言い方はおかしいと思っていた。


 まぁ話し合いも転移のせいで有耶無耶になったが…

 

 誠は玲奈が追放された為、仕方ないから救ってやる事にした。だって玲奈が一人になって生きれる訳がないから。それに恐らく玲奈が何かドジを踏んで災いのような物を起こす。

 そんな事になれば幼馴染の自分まで変な目で見られる。

 

 転移先の国に頼んで玲奈を探させたら魔王の城に捕えられている事が分かった誠はすぐに向かった。


 だが玲奈は魔王の洗脳を受けたのだろう。迎えに来てあげた誠を拒否して、魔王の手を取り異世界に残ることを選んだのだ。

 誠は何度も玲奈に呼びかけた。玲奈に自分がついてなかったら彼女は生きていけないのだ。

 正気に戻そうとするが届かず、誠は魔王の手で元の世界に強制的に帰された。





 と…ここまで前回までのお話である。問題はその後

 気がつくと誠はあの日玲奈と転移した場所にいた。キョロキョロ辺りを見渡したが、いつもと同じ道である。だが隣にいるはずの少女がいない。


 「れ…玲奈?れな…れなぁ!」

 誠は大声をあげて玲奈を探したが玲奈はいない。返事も返ってこない。誠は項垂れて落ち込んでいた。すると背中にドンと衝撃が走った。

 

 「いた…」

 「んなとこでつったんでじゃないわよ!全く…アンタはほんと私がいないとダメよね?」

 後ろを振り返ると見知らぬ少女が立っていた。


 見た目は平凡な玲奈と比べてかなり美少女の部類に入る。体つきも玲奈に比べて凹凸があって出てるとこは出てるし全体的に細く華奢で背も低め。

 顔つきはキツめながら冷たい雰囲気がある玲奈に比べて猫のように愛嬌のある顔立ち。

 髪の毛も玲奈に比べてずっとサラサラしていて美しい絹のような黒髪。


 そう見た目に関して言えば玲奈よりずっと上の少女だ。しかし誠はそれよりも急に蹴ってきた少女に腹が立った。だが相手は自分と同じ高校の制服だ。

 もしここでキレればこれから自分を頼って帰ってくる玲奈が困る。仕方ないので軽く注意するだけにした。


 「えと君かな?俺を蹴ったn「はぁ!?誠の癖に積極!?ばっかじゃないの?昔から私に面倒見てもらってるアンタが?私はただそこでボーッと立ってたら歩行者の迷惑になると思っただけよ!

 それを注意ですって!?元はといえばね!」

 「ちょ…ちょっと待って!」


 誠の話が遮られた。未だかつて誠の話を遮られた事はない。寧ろ玲奈相手に話す時は意味のない話をする玲奈の言葉を遮りアドバイスこそした事はある。

 だが自分の方が遮られることなんて体験した事がない。


 それも目の前の少女の言動が宇宙人のそれだ。蹴ってきたのはおかしいのではないか?幾ら何でも自分でも玲奈にそんな事した事ない。

 それに…


 「昔から?誰かと間違えてんじゃない?」

 そう言うと目の前の少女はハァと息を吐いて呆れている。ため息を吐きたいのはこっちだと誠は言いたい。


 「昔から鈍臭いとは思ってたけど…とうとう頭までやられたか…。やっぱ私がいないとダメね」

 そう言う少女の声に誠はカチンときた。

 「良い加減にしろよ!俺はお前なんか知らない!昔から!?俺がいたのは玲奈だ!それに面倒を見てもらってた!?

 俺は寧ろ面倒見てやってた方だ!お前じゃ無くて玲奈のな!?」

 「はいはい…ほら!おばさん心配するから帰るよ?ていうか私に黙って帰ってんじゃないわよ!アンタは私がいないと何するか分かったもんじゃない!」


 そういうと少女が誠の手を引っ張ろうとするが…誠は腕を振り払った。そしてそのまま走って自分の家に帰った。


 「ハァハァ…何だよあの女。頭おかしいんじゃねーの!?」

 「あら誠おかえり〜」

 すると母が誠を迎えてくれた。

 「母さん?」

 母は誠が転移帰りなのに何も言わない。疑問に思った。


 「えと母さん?何も言う事ないの?」

 「え?特にないわよ?」

 「ほら…例えば今まで何してたの?とか…」

 「学校でしょ?どうしたの?おかしい子ね」

 誠は不審に思い鞄に入ってたスマホを取り出した。時計や日付はあの時転移した瞬間と同じだ。


 「(現実世界では時間は経ってないのか?)」

 誠が玄関で考え込む。すると母がまた戻ってきた。

 「あら?そういえば瑠夏ちゃんと一緒じゃないの?」

 「瑠夏?誰その人?」

 「何言ってんの?あんたの幼馴染で面倒見てくれてた子じゃないの!」


 その言葉に誠は唖然としていた。すると後ろから扉が開く音がした。

 「もう誠?どうしたのよ急に…。あ!おばさんこんにちは!」

 「あらぁ瑠夏ちゃん!誠!アンタ瑠夏ちゃん置いてきたの?」

 「いえいえ大丈夫ですよ。けど誠?アンタは一人だと大変なんだから!私がついててあげてるのに…なんで置いてくのよ!」


 誠は固まった。ドアを開けたのはさっき絡んできたヒステリックな少女である。

 玄関でも独自の理論を振りかざす。が母は何も言わない。寧ろニコニコ見ている。

 「良かったわねぇ誠!瑠夏ちゃん美人だししっかり者で優等生だもの!瑠夏ちゃんなら誠を任せられるわぁ」

 「えへへ…そんなそんな…」

 「もう誠!こんな良い子を置いてっちゃダメじゃない!面倒見てもらってる分好きな子を守ってあげないと!」


 誠は頭が真っ白になった。何を言っているのだ…この二人は…


 誠は自室は逃げ出した。頭がおかしくなりそうだった。しかし性懲りもなく瑠夏は叫んでいる。

 「ちょっと誠!どうしたのよ!」

 「五月蝿い!この不審者!俺の幼馴染は玲奈だ!お前なんかしらねぇよ!出ていけ!くるな!」

 「ちょっと誠!良い加減しなさい!折角瑠夏ちゃんが心配してるのに!」


 後ろから母が何か言っているが知った事ではない誠はすぐに布団に潜り込んで部屋の鍵を閉めた。

 しかし追いかけてきたのだろう瑠夏がドアを叩いて喚く。

 「誠!良い加減しなさい!おばさん心配してるよ!出てきてよ!」

 だが誠は無視した。そして更に布団に包まる。


 「もぅ…誠ったら…」

 「瑠夏ちゃん。あの子ちょっと今日体調悪いみたいだし今日は帰りなさい。それにごめんなさいね?あの子瑠夏ちゃんに酷い事…。怖かったでしょ?」

 「いえ!全然!あいつには私がいないとダメなんですから!こんなとこで躓く訳にいきませんからね!」

 「瑠夏ちゃん頼もしいわぁ♡ふふ…将来はあの子を尻に敷くなり、手綱引くなりしてリードしてほしいわ♡」


 外では二人の女が意味のわからない会話をしていた。しかも恐ろしい未来予想図を語っている。


 誠は一回頭を整理した。取り敢えず部屋にある本棚から一冊のアルバムを取り出した。それは幼少の頃からの写真があるはずなのだ。

 そこに玲奈がいるはずである。見せれば母の目も覚めるはずである。

 そう考えて見て絶望した。


 「何だよ…これ…」

 そこにあったのは玲奈との写真ではなく、あの瑠夏という少女との写真である。玲奈が何処にもいない。

 「玲奈?玲奈は?」

 誠の心臓はバクバクと鳴っている。冷や汗も出てきた。どうしようもない不安感が襲ってくる。


 「まさか…元から玲奈のいない世界?」

 誠はそれに気づき顔を青くした。それも玲奈がいないだけでなく、その立場に瑠夏という少女が成り代わっているのだ。

 「そんな…そんなぁ…」

 「ちょっと誠!良い加減に出てきて!アンタ瑠夏ちゃんに酷い事言って!そんな事してたらあの子に嫌われるわよ!」

 「母さん!」

 「!?」


 誠は藁にも縋る思いで母に玲奈の事を問うが母は知らないと言う。

 「玲奈ちゃん?ううん聞いた事ないわねぇ…幼稚園にもそんな子いなかったわよ?

 貴方の幼馴染は"黒崎 瑠夏"ちゃんよ?大丈夫なの?頭打った?」


 母は心配するが誠は目の前が真っ暗になった。

 誠は急いで家から飛び出して玲奈の家に行った。だがある姿を見てすぐに尋ねるのをやめた。

 「何で瑠夏が!?」

 家の窓を見るとそこには先程の少女瑠夏がいた。


 苗字も玲奈と同じである。完全に玲奈の立ち位置にいる。だが

 「何であっちが俺をぞんざいに扱うんだ!?」

 そうもし玲奈の立場まんまならば、誠がその人の面倒を見る立場になるのだ。

 なのにあっちや母は誠が面倒見られてると反対の事を言うのだ。

 「…ま…まぁ…あっちもすぐに俺が一人で何でもこなすの見て諦めんだろ…。」

 誠はそう考えて甘く見ていた。





 だがそれ以降が地獄だった。

 瑠夏は誠のする事なす事全てに否定的だ。

 「何で今その教科してるの!?アンタはこれが苦手でしょ!?教えたげるから今すぐこっちしなさい!」

 「ほっとけよ!俺はこの教科を伸ばしたいだけなんだよ!それにそこはもう復習した!」

 「嘘つかないで!アンタの事だからサボってるに決まってるじゃない!ほら私がちゃんも見ててあげるから!」


 そう言って誠の勉強道具をぶん取った瑠夏はバンと全く違う教科の問題集をした。

 

 確かに誠も瑠夏の勉強に口を出して他の事をやらせていた。けどそれは瑠夏がやってるのは効率悪いと考えての処置だ。

 誠は何故自分は効率よく勉強してるのに邪魔するのだと睨みつけるが相手は機嫌を悪くして

 「何よその目…。私はアンタのために言ってやってんの!それなのに…」

  

 そう言って説教タイム。誠にとって世界一無駄な時間。勉強もできない。何かしようとすれば文句を言われるのだから

 「(あれ?だとするとコイツのアドバイス無駄じゃね?)」


 そこまで考えて誠はある事を思い出した。確かに自分もこんな光景を見た。

 しかし自分は瑠夏の立場で玲奈が自分の立場。あの時も玲奈は今の自分と同じく黙って聞いていた。

 途中で何かしようとすれば

 『俺はお前のためを思って言ってやってんのに何別の事してんだよ』

 そう言って勉強道具を取り上げた。


 「(これ…結局勉強できてない…アドバイスしたってできないんだ。当たり前だ。…いや違う!寧ろ玲奈の方が言えば良かったんだ!

 自分はあくまで玲奈のために言っていたのだ。ならばあっちも勉強したいならば言ってくれれば良かったんだ)」

 途中で浮かんだ考えを誠はすぐにかき消した。出なければ自分のした事が間違いになるからだ。

 その時も聞いてるの!?だの私は貴方のためにとか聞こえる。


 それから友人関係。まず同性の友人。

 「なぁなぁ?白雪!黒崎さんと仲良いだろ?紹介しろよ!」


 「いいなぁ….美人な幼馴染とか憧れる…」

 などと何をしても瑠夏の話が出てくる。


 離れてくれるチャンスと思って紹介するが瑠夏は

 「ごめんね?私は誠のそばがら離れられないのよ。だってあいつ私がいないと何もできないもん。だから…」

 と断りまくる。


 すると男子生徒は誠の存在が邪魔に感じてハブるようになった。

 「黒崎さんかわいそうだよな…」

 「お前黒崎さんにばかりたよんなよ!」

 「いいんだよ?私が好きでやってるんだからさ?」

 男子生徒は正義のヒーロー気取りで瑠夏を守り悪である誠を排除しようとする。それに対しての瑠夏のセリフ。


 瑠夏は逆に健気な少女として更に人気が上がっている。


 次に女子生徒

 前まではきゃーきゃーいいながら誠に来ていた女子。まぁ誠は玲奈のお世話に忙しいと断っていたが…

 女子は寧ろ近寄らない。そしてよそよそしい。一度一人大人しい女子を捕まえて聞いたら


 「黒崎さんが…白雪君は一人で何もできないし鈍臭くてアンタたちに迷惑かけるから近寄らない方がいいって…

 白雪君に話しかけた女の子に毎回言ってくるの。だからついめんどくさくて…それになんか黒崎さん怖いもん…」

 と言っていた。


 誠は憤慨した。人間関係までコントロールしている。流石にやりすぎた。

 「おい!幾ら何でもやりすぎだ!皆んなお前のせいで俺と関わるの怖がってんだぞ!」

 「?何言ってんの?私のせいじゃないわよ。私はただアンタの世話を他の子にさせんのかわいそうだから忠告してあげたのよ?

 あと男子は?男子は話しかけてくれるじゃない?」


 「皆んなお前目当てなんだよ!そんでお前断ると俺は邪魔者扱いされんだぞ!?」

 「困るのは誠じゃない。私がいないと「何もできないだろ!もう聞き飽きた!」


 「(あれ?この会話…何処かで)」

 そう言えば転移前もこんな会話も玲奈としていた。そしてこれも瑠夏の立場に自分がいた。


 誠は確かに毎回玲奈に言っていた。

 『お前は俺がいないとダメなんだ』

 それも何回も…





 それからも誠は精神がゴリゴリ削られた。

 毎日毎日迎えにくる瑠夏。行かないと注意という名の理不尽をぶつける瑠夏。

 そして瑠夏を怒らせる誠を叱る親。

 

 瑠夏にお近づきになりたいが為に誠を邪魔者扱いする男子。

 瑠夏の忠告という名の牽制で関わってこない女子生徒。


 何度も何度も誠は瑠夏に言った。もうやめてくれ。お前がいると人間関係がうまくいかない。俺には俺のやり方がある。

 

 だが瑠夏はそんなの聞く耳持たない。そして言うのだ

 『そもそも鈍臭いからミスするの!はぁ…こんな手のかかる幼馴染もつと大変だわ…。

 仕方ないから私が面倒みてあげるわよ。これからも…』

 誠はその返答に何度も絶望した。何を言っても聞いてくれない。


 親からは

 『瑠夏ちゃんみたいな子中々いないわよ?そんな態度ばかり取ってたら嫌われるわよ!

 将来のお嫁さんなんだから大切にしないと』

 これである。


 親は瑠夏を何故か大層気に入っている。瑠夏は確かに優等生だ。成績も今までトップだった誠を抜いて一位になっている。運動もいつも一番。そして外面がとてつもなく良い。

 

 しかしそれよりもずっと誠の精神を苦しめたのは

 「(ごめんな…玲奈…)」

 

 誠は改めて瑠夏の行動を見ていて既視感を覚えるようになった。

 誠も同じだ。瑠夏と同じようによく

 『お前には自分がいないとダメ』

 と唱え続けた。


 玲奈のやる事なす事を絶対失敗すると考えてしまい、すぐに自分のやり方を押し付けていた。だって玲奈は劣等生で何もできないと頭から決めつけて。

 でも考えて見たら玲奈の成績は言う程酷いものではない。寧ろ平均より上である。


 逆に今までトップだった誠は成績が下がる一方だ。勉強してると瑠夏が口出しして酷いと説教タイムに入る。アンタの為だと言い張って

 家でしていても勝手に家に上がり込み教えてあげるから一緒に勉強すると言い出す。

 だが実際は学校とおんなじだ…殆ど瑠夏のありがたくない。寧ろ迷惑な説教タイムだ。


 これは誠もしていた。お前の為だと言って

 「(もしかして俺が関わんなければ玲奈はもっと上に行けたのか?)」


 そして人間関係の支配。これは支配するつもりなんてなかったのだ。けと自分のやっていた事が瑠夏を通じて理解した。

 「(よく考えたら…俺は瑠夏と仲のいいやつに片っ端から忠告してた…いや忠告なんかじゃない…こんなの忠告な訳がない。

 俺は玲奈が他のやつと仲良くするのが嫌だったんだ…。)」


 そして気づく。自分の中にある玲奈への執着心。


 更に出てくる今の状況と前の自分の状況。重ねれば重ねるほどに瑠夏は自分。玲奈と今の自分を重ねてしまう。

 「(俺は…とんでもない事を…それに俺は玲奈にとっては…)」





 いらない…迷惑な存在じゃないのか?



 そこまで考えているとまたどんどんとドアを叩く音。聞こえるのは少女の怒号と母の怒号。

 誠は今は不登校である。精神が病んだ結果だ。だがそんなのあっちはお構いなしだ。


 瑠夏は母に言う。自分がいないと何もできないあいつは私が救い出す。出てくるまで声をかけ続けると。母は言う。貴方みたいないい子が息子のお嫁さんになったら最高なのに…と


 誠は思う。誰でもいいからこの場所から連れて行ってほしいと…また異世界に行きたい。勇者だって何だってすると。


 (誰か…助けてくれ…あの女から…瑠夏から解放してくれ)


 しかし誠の思いは届くことがなかった。

此処までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 人を傷つける人は、自分が傷つけられる側にになるとは、思わないから、平気で人を傷つけられるんでしょうね。人を傷つけるときは、自分も傷つく覚悟が必要なんだと思います。
[気になる点] 玲奈が精神を病んでないのに対して、白雪が精神を病んだということは、白雪は玲奈ほどの精神力を持ち合わせてなかったのですね。
[気になる点] 自分を傷つけ、束縛して、馬鹿にする人を好きになれるはずないですよね。僕だったら、できる限りそういうのは嫌だと相手に言ったり、それがだめなら信頼できる人に相手のことを相談します。白雪は、…
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