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神様の自由帳  作者: ぼたもち
第4章ー青年冒険編ー
58/63

これは記す彼の物語


 以下はマゼンタの日記の一部を抜粋したものである。


 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1420年 12月21日

 手紙の練習をする。

 僕の感情を書く。

 師匠とシロさんが戦っているのを見て、胸の辺りが変だった。

 キーツさんはそれを『関心』だと言った。

 僕は師匠達の事を知りたい?

 分からない。

 僕が分からない。

 

 ――――――――――――――――――――


 霹暦1421年 2月1日

 師匠とシインフットに行った。

 じいさん達なら、僕の感情を戻せると思った。

 でも、僕の知らない男が僕を分からなくした。

 盲目の男はずっと『リア』と言う名の少年の話をする。

 じいさん達は僕を見て何かを……分からないけど頷いた。

 涙が出た。

 これは『悲しみ』かもしれない。

 

 ――――――――――――――――――――


 霹暦1421年 9月9日

 シインフットに5度目の帰省をした。

 コ―ニールから弓の話を聞いた。

 リアは優秀な弟子らしい。

 僕は師匠に褒められた事があっただろうか。

 僕と同じ立場の少年を凄いと思った。

 凄いと思うのは『尊敬』?

 一度彼に会ってみたい。

 

 ――――――――――――――――――――


 霹暦1421年 9月24日

 【ノートのページが歪んでいる】

 とても嫌な事があった。

 『嫌悪』『憎悪』『怒り』『軽蔑』。

 嫌な感情の全てを満たす感覚。

 記憶にはあったが、自分で体験すると全く違った。

 僕はあの魔女が嫌だ。

 本当に消えて欲しい。

 生かしてはおけない。

 どうにか殺す方法を考える。

 

 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1421年 10月31日

 剣を胸に刺してもアレは抵抗しなかった。

 その代わり、師匠が僕を沢山斬った。

 シロさんの治癒魔法が無ければ死んでいたと思う。

 師匠の目が忘れられない。

 考えると体が痛い。

 これは『恐怖』に違いない。

 

 ――――――――――――――――――――


 霹暦1422年 1月20日

 最近の悩み。

 笑顔がガキっぽい事。

 記号の真似をするのは、もう止めようと思う。


 ――――――――――――――――――――


 霹暦1422年 5月7日

 息苦しさを感じる事が多くなった。

 原因は肩の傷だと分かっているが、対処法が無い。

 シロさんに魔法の威力を上げて貰ったが、喉が詰まる様な痛みは続いている。

 魔法の使用は控えよう。


 ――――――――――――――――――――


 霹暦1423年 4月15日

 1年半ぶりにあいつと鉢合わせた。

 俺があの時の事を謝ると、あいつは面倒くさそうに目を逸らした。

 使う部屋を制限してまで、俺に気を遣っていた事は知っている。

 だが、どうしてもあいつを見ると喧嘩腰になる。

 俺は攻撃しないと誓った上で、好き放題あいつを(なじ)ると決めた。

 嬉しそうに笑うあいつは、やっぱヤベー奴に違いない。

 元気そうな顔を見られて良かった。

 俺はあいつに【ノートのページが破られている】


 ――――――――――――――――――――


 霹暦1424年 8月18日

 師匠に初めて剣を教わった。

 今までは盗むしかなかった技を、言葉で覚えられるのはとても有難い。

 何より、俺の存在を認めて貰えたみたいで嬉しかった。

 【出来事や剣技のまとめが記されている】

 夕暮れ時に、珍しくクラウからコンタクトがあった。

 剣に向き合った事で、彼との心が近くなったのかもしれない。

 クラウは俺に無い記憶の話をした。

 これをババアに話すかどうかは、俺が決めないと駄目だ。


 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1424年 9月4日

 クラウから聞いた話をババアにした。

 今は師匠の秘密を教えた事を後悔してる。

 あいつは俺に口止めをしたが、今後の事は教えてくれなかった。

 師匠はあいつに心酔してるが、それ以上にあいつの方が、根強い依存をしていのかもしれない。

 他に相談できないから、俺が師匠達の今後を見守っていこうと思う。


 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1424年 11月22日

 マジで一度も会えない。

 リアはコ―ニールの空想上の人物かもしれない。

 不定期に現れ、不定期に帰って行くらしいが、定住しない理由は何だ?

 無いとは思うが、俺避けられてんのか?

 

 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1425年 2月14日

 最近、イーサさんからのスキンシップが増えた。

 誰が俺を口説けるか、アンナさんとエルマさんと賭けてるらしい。

 エルマさんが「感情が無いみたい」と言っていたのが気になる。

 全ての感情を取り戻したと思っていたが、まだ足りないようだ。

 何が足りないのか分からない。


 ――――――――――――――――――――

 

 霹暦1425年 6月8日

 近々、王都でリアスの15歳を祝う祭りが行われるらしい。

 あの騒動から5年も経つのか。

 リアスとの記憶が薄まっていく事を、何故だか安堵している。

 俺がどうしてリアスに固執していたのか思い出せない。

 手紙は送らない。

 だから、今日限りで日記を書くのを止める。


 ――――――――――――――――――――


 

次回更新は2025/12/7を予定しています

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