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神様の自由帳  作者: ぼたもち
第2章ー海中世界救済編ー
23/56

これは生まれる彼女の物語


 「ドクン」と響いた心臓の音で目を覚ました彼女は、閉鎖されたガラス瓶を見渡した。

 手を添えたその先に映るしかめっ面の女性は、彼女にとって馴染み深い人だった。

 

 ――いや、馴染みを超越し得る彼女は、私に他ならない――


 本能的にそう感じた女性は、ガラスを割って外の世界へと飛び出した――。


 ――――――――――――――――――――


 書物に周囲を囲まれたシロは、重要項目が記された文を指さしながら、何やら見慣れない機械を弄っている。

 両手を広げてようやく抱え込めるその大きな道具に、片腕を詰めて注射を嫌がる子供の様に、文句を垂れているのはグレンだった。

 彼女の腕に繋がった機械には、見慣れない桁と単位のデータが表示されている。


「もっと魔力を込めてくれない?」


「だー!シロ基準で考えるなよ!これが私の限界なんだって」


 彼等の会話からその道具は、魔力を測る機械だと伺えた。

 類を見ない魔力保持者のシロは、グレンが手を抜いているのだろうと怪しんで機械の出力を上げた。

 貧血を起こしたように「フラッ」と倒れかけたグレンを、記号が彼女の背もたれ代わりとしてバランスを保つ。

 そんな仲睦まじい(?)3人の背景では、木刀片手に侵入者へと攻撃を仕掛ける少年が居た。


「止めろよ!あんたじゃ到底このババアに勝てねぇ!」


「そこを退け!俺には東の魔女を倒す使命があるんだ!」


 炎魔法をマゼンタへと投げた侵入者。

 少年は咄嗟に炎の防壁を作り、相手の魔力を自分の魔法の一部にして霧散させた。

 同じ属性相手では練度の高い方が勝るのだが、工夫1つで打破が可能だ。

 普段から格上と戦うマゼンタは、熟知した戦い方で優位に立っている。


「おかしいな、もっと火力が上がれば時間も遡れそうなんだけど、既存のメーターで測れる程度の温度じゃあダメなのかもね。なら彼の固有は『限界突破』の類になるのかな。いや、それなら死にそうな程の不幸な必要はないはず。……時間じゃなくて空間なのか?粒子の説明もしやすくなるな」


 ブツブツと好みを語る魔法愛好家の白猫は、兄さんの不可解な固有魔法の真相を暴こうと、既存の情報を整理していた。

 膝に広げた最重要資料は、彼が愛する作者の書物。

 『机上空論文』と表紙に書かれたその本は、嘗ての研究家が憶測で書き殴った文章で構成されている。

 二百年経っても色褪せない脱俗した内容は、時間や空間の概念を覆したい今のシロの状況にピッタリだった。


「ねーえー無理だからぁ。アイツはただの不幸人間。それで話は終わりだろ?」


「死者蘇生や人体錬成は不可能だ。仮にあの男が死ににくい固有を持っていても、そこの気色悪いエプロン男を生き返らせるのは無理でしょ?」


 気色悪いと揶揄された当人は、上機嫌で主へと捧げる昼食を作るのに夢中だ。

 フリフリと左右に揺れる長髪を、鬱陶しそうに横目で見たグレンは、現実から目を逸らして首を横に振った。


「過程はどうあれ、あれが帰って来たんだから私はそれでいいよ。……兄さんには常識が通用しない。それは私が身をもって知っている」


 理解できない兄の行動を事細かに説明し始めた主の背後では、先程の戦いが続けられている。

 肩で息をするマゼンタは、敵の攻撃を(すんで)の所での回避を強いられているが、相手の様子を見るに一方的な戦いでは無さそうだ。

 表情の険しい侵入者は、子供と侮っていた彼の粘り強さと、逆転を狙う鋭い眼光に焦りを感じている。

 その焦りが動きにミスを誘発させた。

 侵入者が振り被った剣は、マゼンタの遥か前方で空を切る。

 相手の切っ先が地面に落ちたのを確認した少年は、木刀を両手で構えて突き刺す様に、全体重で侵入者へと押し込んだ。

 鳩尾に入った一撃で唾を吐き出した侵入者は、腹を抱えて倒れ込んだ。

 マゼンタの渾身の攻撃を受けても尚、彼には意識があるようだ。

 「もしこれが真剣なら自分は死んでいた」と冷や汗を流す侵入者の目には、諦めの色が見え隠れしていた。


「はーい主さん。今日はローストポークやで。んな機械早よ捨てて飯にしよか」


「やったぁ!記号さんお肉もお魚もぜーんぶ大好き!」


 飛び跳ねる記号に「埃が立つから止めろ」と注意したヤミは、散らかったテーブルの書物を素早く片付けて、主の食事を優先的に準備する。

 私物を触られた白猫がヤミに嫌がらせの魔法を放つと、たちまち喧嘩が始まった。

 そんな2人の行動に慣れ切ったグレンと記号は、そのいざこざに巻き込まれない位置で楽しそうに食事を始めている。

 食事の時間をキッチリと守って席に付いたリアスは、温かい食事に感謝をして手を合わせた。

 

「なあ、もう決着は着いただろ?諦めて帰ってくれ」


「……っ!護るべき家族が俺には居るんだ!ここで負けたら世界はどうなる!?」

 

 苦しそうに叫ぶ侵入者の気持ちを汲んで胸を苦しめる少年は、それでもここを通す訳には行かないと仁王立ちしている。

 膝を付いた侵入者と同様に、マゼンタの限界も近い。

 脚を震わせて木刀を杖代わりにする少年の前で、侵入者は立ち上がった。

 炎でボロボロになった上着を捨てた侵入者は、再び決意を胸に少年へと剣を振った。

 マゼンタにはもう、その攻撃を耐えきる力はない。

 木刀の(みね)を上に構えて、侵入者の刀を外側に流れる様に沿わせた彼の動きは、此度の戦闘の中で一番無駄な動きのない綺麗な捌き方だった。

 空いた手で刀を持ち直したマゼンタは、木刀を1回転させて相手の蟀谷(こめかみ)を割く。


「シロシロのお肉1切れ盗んだらバレちゃうかな?」


「私の分をあげますよ」


「リアス、ちゃんと食わねぇとチビのままだぜ。ほらクソガキの盗んどけ」


 手の付けられていない皿から肉を奪うグレンと、ワクワクしながら空になった皿を差し出す記号。

 困り眉を作って首を傾けるリアスは、2人の目を盗んで自分の1切れをこっそりマゼンタの皿へと移して事なきを得ていた。

 そして、ヤミとシロの戦闘は場所を変えて遠くで爆発音を鳴らしている。

 マゼンタと対峙している侵入者は先の一撃を受けたのを最後に、剣を手放して両手を上げていた。


「俺の負けだ。子供だと思って侮ってすまなかった」


「いや、あんたは俺より強かったぜ」


 歯を見せて笑う両名は、新たに築いた友情を噛み締める。

 穏やかな展開の中、その場を去るしかない侵入者は、顔に落ちた影を濃くさせてその場を後にした。

 背中を見送るマゼンタは、行き場のない喪失感を抱えながら傷だらけの木刀を帯刀した。

 

「ふぅ、今日はいつもより多いな」


 戦闘が片付き、安堵して呼吸を整えたのも束の間、次の刺客が彼の前に姿を現す。


「東の魔女!切愛の巫女様の命で貴様を倒す!」


「もうお前等何人来んだよ!」


 際限ない侵入者達にツッコミを入れたマゼンタの背後で、賑やかに世間話をする女性3人は、彼の苦労など知らずに会話へ花を咲かせていた。


 ――――――――――――――――――――


 ――ここで物語の時系列は最初に戻る。

 記号の登場に始まり、兄さんの襲撃に終わった出会いの物語は終止符を打ち、日常を形成する初めの物語(第1話)へと移行した。

 闇に包まれた渡り廊下の先へと移ったグレンは、手元の球体を背を向けて作業に没頭する男へと放り投げる。


「いてっ!んー何が落ちて来たんだぁ?……あっこの間の生物兵器!」


「これ、母さんの絵なの?」


 記号に弄ばれた後に数日放置されたコアを兄さんへと返したグレンは、壁に飾ってある絵画に目を奪われている。

 美麗に笑う油絵の彼女が、部屋の明度に似合う不気味さを演出していた。

 声で妹の存在に気が付いた兄さんは、龍のコアを雑貨の多い箱に放り投げて「クルリ」と椅子を回転させる。


「やあやあ、ようやく僕の部屋へ来る気になったんだね!待ってね!今食事を用意するから!」


「……食べて来たんだけど」


 会話のキャッチボールが出来ないのは、彼等の血筋なのか。

 グレンの発言を無視した兄さんは、いつから保存していたのか分からない劣化した料理を、そこら辺に落ちていた鉄板に盛って妹へと差し出した。

 その料理は、食品だと判断できない程度に黒みを帯びている。

 箸の出て来ない食事を前にした彼女は、その物体を親指と人差し指で摘み上げて口へと運んだ。

 触った時に「ネトッ」した音を立てたそれは、口に含んでも同じ感覚があるらしく、グレンは何とも言えないしかめっ面で硬直する。

 彼女の前では、両手を顎に沿えた兄さんがウキウキと料理の感想を待っているので、尚(たち)が悪い。


「私の心臓を今まで煮詰めてたの?」


「アッハハ!これは()()()()()()作り置きしてたやつだよ」


 「心臓は別の事に使いました」と開き直って笑う兄さんへ向けて、グレンが料理の盛られた鉄板をひっくり返そうとした。

 が、それを兄さんが慌てて止める。

 彼のらしくない行動に疑問を抱いて、ちゃぶ台返しを打ち切った彼女は席に着いて足を伸ばした。


「これ結構貴重な物なんだよー。次いつ手に入るか分からないから、大事に食べてね」


「ならこんなマズイ調理すんなよ」


 暴食の悪魔の胃袋なら何を食べても大丈夫だと判断したグレンは、素直に食事を続けて会話を自分の関心事へと戻した。

 

「んで、あの人は私の母さんなの?……あんまり似てないけど」


 自分の容姿に自信のないグレンは、凛とした彼女に引け目を感じて「似ていない」と表現した。

 だが、兄さんは首を横に振ってそれを否定する。


「似てるでしょ?自分勝手な感じとかさー」


「外見だけじゃ判断できないだろそれ」


 グレンは母の顔を思い出そうと幼い頃の記憶を辿る。

 水の冷たさや吹雪の寒さが印象強く残る過去で、長い髪の彼女の口元だけを思い出した。

 しかし、その人物と絵画の女性が結びつかないグレンは、ボーッと彼女を眺めて新たに記憶へ残そうと奮闘する。

 ニコニコと妹の横顔を凝視する兄さんの方が、母と過ごした時間は多いだろう。

 決して敵わない親子の絆を前に、敗北心を植え付けられたグレンはマズイ食事の手を速めた。


「母さんってどんな人だったの?」


 話題のきっかけが無ければ一生聞かなかったであろう質問を、兄さんに投げたグレンは気恥ずかしそうに頬を染める。

 真っ直ぐな質問を想定していなかった兄は、狐目に皴を寄せて嘘っぽい笑顔に力を入れた。


「フフ、見た目の通り美しい人だったよ。人の上へ立つことに慣れた感じでさー。皆からの信仰も厚かったね」


「へぇ」


 兄目線の母親の虚像に疑いの目を向けながらも、自分の親がちゃんとした人で驚いているグレン。

 久々の兄との会話に頬を緩めた彼女は、次から次へと彼を質問攻めにした。


 ――――――――――――――――――――

 

 和気あいあいとした兄妹を覗く生き物が、其処へ既に存在した。

 「ドクン」と響いた心臓の音で目を覚ました彼女は、目の前に座るグレンを見ると豹変してガラスを叩く。


「うわっ!誰だ!?」


 グレンが驚きの声を上げて立ち上がった。

 生卵が不意に割れてしまった時の様に、ガラス片が周りに散らばり、液体の中から裸の女性が「ヌルッ」と飛び出す。

 どうして今までグレンが、その人物に気付かなかったのか。

 その答えは本来の人間なら持っているはずの魔力を、彼女が有していない事にあった。

 古いホルマリンで濁り切った彼女の姿は、明かりの少ない兄さんの部屋で目立たなかったのも一因だろう。

 水溶液から生じた女性は、ゆっくりと長く垂れた髪を持ち上げて動き出した。

 本来白髪であるはずの髪に液体が混じり、銀髪の様に見えるそれが、次第にグレンの視線の高さへと移る。

 グレン達がボタボタと垂れる液体に目を奪われていると、彼女が超音波の様な咆哮を上げた。

 家具は揺れに任せて、瓶や書物を床へと放りだす。

 ひりつく肌を袖に隠しながら両耳を塞いだグレンは、今にも意識を失いそうな兄さんへと叫んだ。


「くっそ!なんだよあの生き物は!またろくでもないものを作りやがって!」


「あへへひゃ目がまひゃる」


 使えない兄を蹴って廊下へと放り出したグレンは、口を大きく開けて笑う彼女と対峙した。

 放り出された兄さんは、彼女と距離が取れた事で少しばかり正気を取り戻し、興味深そうに被検体を眺めている。


「アッハハ!彼女の心臓部分見えるかい?」


「ん?あー表面が脈打ってんな。弱点か?」


 彼女の大きな胸部の中央に、小ぶりな凸を見つけたグレンは、双刀を構えて腰を低くした。


「あそこにねー、君から貰った心臓埋め込んでみたんだー」


「んなに気持ち悪い事しとんじゃクソ野郎!」


 襟を掴み上げて自分を持ち上げるグレンに「わー死んじゃうかもー」と、呑気に返す彼の命の灯は殆ど消えかけている。

 グレンもそれを分かってか、兄さんに彼女の対処法を吐けと脅迫した。

 ナイフが喉元にあってもケタケタと笑う彼は、手のひらサイズの魔力そのものを彼女の体へと飛ばした。

 銀髪が揺れる彼女の周りで、その魔力玉は消える。

 いや、正確には『吸収された』と表現すべきだろう。


「生きてるのに魔力が無いから苦しんでるんだろうね。K2は魔力を貯蓄できる仕様だから、ありったけの魔力を詰め込んじゃおー」


「っ!……魔力、か」


 兄さんは生まれた彼女を『K2』と呼んだ。

 元の人格を無視した数字での管理に、拒否反応を起こし掛けたグレンは、ふとシロの事を思い出した。

 魔力をありったけ込めるならば、彼の力を借りざるを得ないだろう。

 数字で管理された奴隷の白猫を呼ぼうと、渡り廊下へと振り返った彼女はそこで想起する。


「あれ?今日の喧嘩止めてなくね?」


 ハッとした彼女は口に手を当てて考え込んだ。

 食前に始まったヤミとの喧嘩を後で仲裁しようと思って放置したままだと、合点がいってポンと両手を打った。

 そしてもう一つ、自分には魔力が残されていない事も思い出した。

 シロの様に優秀な魔法使いであれば話は別だろうが、常人の魔力しか持ち合わせていないグレンの一日に使える総量は限られている。

 魔力を既に出し尽くした彼女は、窮地に追い込まれていた。


「そもそもお前の管理不十分だろうが、自分で対処しろよ!」


「えーここで止められるほど、僕は幸福じゃないぎゃふん」


 K2の咆哮で生じた災害が、兄さんの胸元へと落下した。

 子供の持つ箒の柄が刺さり、情けない声を上げた彼は胸を抑えて咳き込む。

 その衝撃で骨が折れて内臓を傷つける兄さんは瀕死になり、終ぞ粒子化を加速させた。

 何処からともなく現れた『カラクリの子供』。

 髪の無いその人形は、投げ出した箒を探し当てると、それを被って頭髪の代わりにした。

 和装の子供は自分の髪が戻ったことに満足して、そそくさと部屋の隅へと戻って休憩モードに入る。

 それを「どうツッコむべきか」と悩むグレンの視線が追いかけていた。

 手足の先が粒子に飲まれた兄さんは、感動的な最後を迎えるべく、グレンへと最後の言葉を残した。


「今回はギャグ回だからシリアス展開にはならないよ……」


「お前の死がギャグに含まれるのは良いのかよ」


 笑顔で手を振った兄さんへ唾を吐いたグレンは、頭を抱えてK2へと向き直る。

 K2がどんな経緯で兄さんの(もと)で実験体となっていたのか分からない。

 それを理由に、先手を打つのを躊躇したグレンは、そこで彼女と暫し睨み合った。

 被検体の虚ろな瞳は、そこに人格が無いと錯覚させる。

 吸い込まれそうな赤黒い瞳を見つめ続けていたグレン視界に、不意に記号が大きく映った。


「ねえねえ!記号さんも遊ぶの!」


「おい!逃げてろ記号!危ないぞ!」

 

 K2の脅威度が分からないが、咆哮が止めない辺り危険人物には変わりない。

 それとなく記号を引き留めるグレンであったが、今回の記号はいつもより気まぐれで忠告を聞き入れなかった。

 珍しくローブの袖へと腕を収めた彼女が、腕をブンブン振り回しながらK2の前へと躍り出た。

 粘性のある液体に身を包んだK2に袖を差し出した記号は、警戒の無いステップで彼女の顔を覆った。

 わしゃわしゃと不器用に上着で水気を拭き取る記号へ、殺意を抱いたK2が腕を振って抵抗をする。

 力の入っていない一撃に体を流された記号は、バランスを崩しながらも壁にもたれ掛かって楽しそうに笑う。

 そのK2の動作を見たグレンは、彼女の動かない指に着目した。

 膝を震わせて立つのも苦しそうなK2は、筋力が低下していると推察される。

 

「記号さんも一緒に叫ぶよ!わああああ」


 同調した彼女の行動に意図や意味は無かったのだろうが、ぶつかった波長がK2の声を押し殺して静寂が生まれる。

 その不思議な現象にグレンが目を丸くしていると、叫びに満足出来なかった記号が、棚や机に乗った雑貨を手近にあった箒で破壊し始めた。

 高い笑い声を上げながら部屋の全てを壊す記号に、目元を隠しながら箒を求めて彷徨い歩くカラクリ人形。

 収拾のつかない事態に高を括ったグレンは、被害の及ばない廊下に座り込んで彼女等を観察していた。

 暴れ狂う記号を目で追うK2は、糸の切れた操り人形の様に地面へと四肢を伸ばしている。

 逆立っていた髪が収まり、内側に癖の付いた前髪は、交差して鼻の頭で×を描いていた。

 破壊音が響く中、誰も止めない凶行に終止符を打ったのは、苦労を一身に背負う赤毛の少年だ。

 

 「こら!物を壊すな記号!廊下に座り込むなババア!うわああはだっ裸……ふ、服を着てくださああい!」


 侵入者の対処に追われて疲労困憊(こんぱい)のマゼンタは、目をグルグルさせてそれでも尚彼女等を注意した。


 ――――――――――――――――――――

 

 これは生まれる彼女の物語。

 悪魔(グレン)の心臓を持ち、来訪者(きごう)の魔力を吸収した彼女の正体とは――。

次回更新は2025/05/25を予定しています

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