滝のように流れる汗の音
掲載日:2024/01/30
どどど……
「つまり、あなたは……」
目の前で土下座する夫に、上から私は言った。
「したってわけね?」
ど……どどばばばばば……
「何か言えば?」
どざーっ! どざーっ!
「べつにいいのよ? あなたは自由な一人の男のひとなんだから」
ど……
「でもね……」
私は腰掛けている食卓の椅子の足をギシッと鳴らした。
「もしまだ私たちを愛してるというのなら、それは許さない」
どど……っ
「家を出ていくというのなら、許すわ。そして二度と帰ってこないのなら、ね」
ど……どどど……どだだざばーっ!
「当然でしょ。あなたは私と家庭を裏切った。そうでしょ?」
ざざざばばばだばだばだば……
「浮気をするとはそういうことよ? あなた、その覚悟はあった? もしかして私のこと、舐めてた?」
ばばばばば……
ドドドドド……
ばしゃばしゃばしゃ……!
ずどおーーーーー!!!
「さようなら、クズ夫」
ざばっしゃーーーーん!!!
夫はすべて滝のような汗となって床に崩れ落ちた。
面倒臭い。これだけの量の臭い液体を片付けさせやがって。
「ただいまー! おかあさーん!」
娘が幼稚園から帰ってきた。
早く臭い液体を片付けておやつにしてあげなくちゃ。
「なにー? このみずー? くっさーい」
「大丈夫よ。ママが全部掃除するから」
「パパはー?」
「お仕事よ」




