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よんわ!

◆◆◇

 

 「うち、いつの間に、死んだのかな?」


 妖精であるサミー様、いえ、サミーさんが突然、そのようなことをぽつりと呟かれました。

 真っ黒な空間に居たはずのわたくし達は、よく見知った庭園のガゼボにおります。ええ、わたくしの住まう屋敷、パッレーンス邸ですわ。

 慣れ親しんだ茶器に、ケーキスタンド、好みの色取り取りの焼き菓子に、軽食、スープを添えて。メイドはおりません。温かい物は温かく、冷たい物は冷たく、紅茶もしっかりと熱があります。

 ほう、と思わずひと息ついたところでした。


 「サミーさん、その、死んだ、とはどういうことですの?」


 「ん〜、よくある異世界憑依だと、うち、死んでるかなって。そういえば、雷見ようとバルコニー出てね、雹が降ってたなって。」


 よくあるイセカイヒョウイ、がよくわかりませんが、バルコニー、雷と雹はわかります。


 「うち、お酒飲んでて、氷の代わりに、雹のロックだと美味しそう〜、って乗り出したら、なんか頭に刺さったかも!」


 …………。雹が、頭に、刺さり、ふむ、死にますね?


 わたくしが固まっておりますと、目の前で手を振られております。レタスちゃん、と呼ばれております。

 どうして、サミーさんが居るのか、わかったような気がしました。妖精の悪戯です。妖精は死ぬ時、妖精の粉を使い、不思議な事を起こすのです。そう、つまり……。


 「つまり、わたくしも、死を迎えた、とのことですのね。」


 ガチャン、とカップを置いた音がしました。わたくしの指が、細かく震えてます。

 お気に入りのカップを、割らずに済んで良かったと、ぼんやり思いました。


 と、庭園がぐにゃりと滲み、ガゼボの周りの景色が一変しました。


 ラボです。


 綺麗な青い光に包まれた実験室のような空間が、ガゼボの外側に広がっております。

 白衣の巨人達が、たくさんのレタス巻きのご令嬢を、丁寧に検品しております。

 見知った顔の方がおりますわね。


 「あっこれ! うちがインストールしたかった、水耕栽培アプリ!」


 どうなってるの、と叫ばれております。


 ……ふむ? 妖精の悪戯は、わたくしとサミーさんだけでは無いようですわね。

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