さんわ!
◇◇◆
うちがふと目覚めると、辺り一面黒い世界だった。
「ここは、どこ?」
「あら? 妖精の声……妖精の方かしら?」
ありゃま、レタス・レディちゃん! ぼうっと淡く光っておる! おるのよ!
「はじめまして。わたくし、パッレーンス侯爵家の、ラクレタス・チシャ・パッレーンスと申します。巷では、レタス・レディと呼ばれておりますの。」
「えと、うちは、サトウマ……いえ、ささみ、じゃなくて、サミーでっす!」
「サミー様、ですね。」
「サミーでいいよ!」
けして名前を名乗ってはいけない小説を思い出して、つい、ささみから名乗りあげてしまった……。レタス・レディちゃん、名乗ってくれたのになぁ。
「では、サミーさんと。先程までは、サミーさんのお姿は見えませんでしたが、はっきり見えますの。わたくし、気絶したからでしょうか?」
「あっ、うちも、急に目の前が真っ暗になって、今ここ! ここどこだろう?」
「……わたくし達、両方とも気絶ですか。」
あっ、何やら熟考してる。深い、深いよ、レタス・レディちゃん! 伏せたまつ毛、長くてかわいい。プリッツ乗る?
「……わたくしの頭に、妖精である、サミーさんが住み着いたことから、ここは不思議な力が働く場所に感じます。サミーさん、ほんのり光っておりますし。」
おりますしおすし。えっ、なになに、光ってるの? あっ、光ってる! 今気付いたけど、うちの体だった! うん、二の腕ぷるぷるしてる!
「ええとえと。わかった、たぶん、うち、レタスちゃんに、意識だけ入ってるっぽくて。で、さっき気絶したから、今、脳内の空間? 的なところに? お互いの意識がいるん、だと思う。」
「ふむ。」
おっと、またも長考スタイルです。かわええ。固まってる。あと、ふむ、が、若干はむに聞こえた。ハム食べたい。生ハム。
そういえば、レタスちゃんってお腹空くのかな?
「レタスちゃん、お腹空かない?」
そう言った途端、うちのお腹が鳴った。あれだ、熊か。鳴き声か。
くす、としか形容できない微笑みをレタスちゃんが浮かべ、そしてレタスちゃんのお腹も鳴った。
なんだこれ、小鳥か、嗚呼ロミオ様、あれはナイチンゲール……。
と、急に景色が変わって、うちらはどこかの庭園の、ガゼボにいた。ほら、東屋ってやつ。
ガゼボは言ってみたかったやつね。
「まあ! お茶の用意がありますわ!」
おお、アフタヌーン・ティーセットがある! これ、ゲーム内で見たやつ! マカロン、フィナンシェ、タルトレット、おつまみに、カナッペ、ピンチョス、キッシュといったとこかしら?
おお、たぶんかぼちゃの冷製スープもある!
「わー、いただきまーす♪」
「お茶を淹れますわね。」
あ~、これこれ。塩の効いたカナッペに、頭がすっきりする。二日酔いには、味噌汁ってね、しょっぱいものがいいのよね。ところで、ゲーム内のご飯だと思って、普通に何の疑問もなく食べちゃったけど……まあいいか。
「紅茶おいしい~。」
「落ち着きますわね。」
さて、ところで、うちは、いつ、死んだのかな?