この恋に終止符を
超短編。思いつきで書いたので誤った表現等あるかもしれません(。>_<。)
「それでさぁ……って、柚希聞いてる!?」
「あっ……ごめん」
私の瞳はまた、君の横顔を捉えていた。最近いつもこうなのだ。ぼーっとして、気がついたらいつも、あの子のことを見ている。
「あ、続きね。それで──」
友達が話を続けるとき、またあの子を探していることに気がついて、慌てて首を横に振った。
「あ、これ2組じゃん。友達いるかも!」
移動教室。友達と移動していた私は、同じく移動教室なのであろう同級生の集団とすれ違っていた。2組。きっとあの子もいるのだろう。
もう一度話してみたいと思うのに、実際に手の届く距離に来たら目を逸らしてしまうのは、喉の奥に言葉がつっかえてでてこないのは、何故なんだろう。その後におしよせてくるのは後悔だけだと、私は人一倍知っているのに。
俯いた自分に喝を入れて、顔を上げた私を待っていたのは、あの子と、その隣の女の子だった。
「……ッ」
「あ、やっほ楓ー……と、彼氏くん!お熱いねぇ」
そんなことないよ、と微笑む少女の隣の君は、少し頬を赤くして「いくぞ、楓」と言った。少し乱暴な物言いは、照れ隠しなんだろう。初めて話した時より、少し声が低くなっている気がした。
「あ、うん。ごめんね。」
楓と呼ばれる女の子が頷いて、楽しそうに話をしながらあっという間に通り過ぎて言った。
「楓凄いよねークラス替えしてまだ1ヶ月なのに。出会ったときに一目惚れしたって言ってたっけ。私も彼氏欲しいなぁ……あれ、柚希?」
分かっていたことだった。この世界で誰よりもかっこよくて、クラスのお調子者で、みんなに好かれてる君が……数回しか喋ったことの無い元クラスメイトのことなんて、好きになるはずがないと。それなのに気がついたら期待してしまうのは、どうしてなのだろうか。その分虚しくなるのは、この気持ちに気づいてからずっと分かっていたはずなのに。
「あぁ、ごめん。ぼーっとしてた。寝不足かも」
おどけて笑ったつもりの私は、本当に笑えてた?そんなことも、わからないまま、私はまた歩き出した。
ありがとう、さようなら。どうせ忘れさせてくれないんだろうけど。
君のこと大好きだよ。
この時、私の恋の物語に終止符が打ちたかった。でも、やっぱり無理そうだ。
──ほら、やっぱり忘れられなかった。