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#09 馬鹿な高校生⑧

 妹さんと喋っていると、楽しい。シンプルに、好きかもしれない。恋愛の好きとかではなく、人間学的に好き。みたいな感じだ。生物学かもしれない。それは、まあいい。妹さんの顔は、正直忘れた。全然、系統も分からない。記憶力はいいみたいだけど、顔を覚えるのは苦手だ。系統という言葉を使ったせいで、ニワトリのトサカみたいな植物を、脳に浮かべてしまった。そこから、妹さんの顔をニワトリ系統から、探しに行ってしまっている。よくない。よくなくなくない。


 やはり、恋愛的な好きかもしれない。恋だろうか。恋ではなく、愛だろう。ファンの気持ちに近い、愛だろう。心は今、こいのぼりみたいにユラユラしてるけど、愛だろう。眉毛が濃いと言われたことがあるけど、これは愛だろう。もう、愛と恋の違いさえ、今はゴッチャラカってる。ゴッチャラカってるって、今、人類で一番初めに使った気がする。でも、雰囲気はそんな感じだ。


 もう時間がない。もう下校時刻だ。急いで漕いだ。仕事に集中しなくてはならない。なのに、なんか変なこと考えている。自転車を漕ぐことに、集中しよう。でも、自転車を漕ぐにも、楽しさという名のガソリンが必要だ。そこは、この風景の中から、何かを探してもいいだろう。ガソリンで思い出したのだが、占いで、前世の前世のかなり前世は、何処かの石油になっている生物らしい。そう、言われたことがある。


 途中に、可愛い女子高生を見つけた。可愛いJKを見つけた。ずっと可愛いと思いながら、漕いだ。ずっと、といっても、みんなにとっては刹那だ。僕にとっては、小一時間くらいの気持ちだ。気持ち悪いかもしれない。こんな僕が、可愛いとか思っていたら。でもそれだけ、刹那さんは可愛かったんだ。名前も知らないのに、つい刹那さんと呼んでいた。


 やっと着いた。間に合った。胸がバクバクいってる。バックバックかもしれない。背中を見た人は、哀愁あるねと、口を揃えずに言うだろう。気づいたら、こいだー!と言っていた。そう言っていた。さっき見かけた可愛い女子高生に、恋したから言った[恋だー!]ではない。自転車を漕ぎきった、安心から漏れた[漕いだー!]である。わざと漏らした[故意]ではない。自然のやつだ。自然なのだ。


 不審者じゃないよ的な歩き方で、門のそばに行った。そこにちょうど、あの男子高校生が現れた。会釈すると、先に行ってしまった。自転車にカギをつけると、早々漕いでいってしまった。あとを追いかけた。僕だから、怒っていないだけだ。僕だから、結構楽しんじゃってるだけだ。他の人だったら、じゃあ、なんで頼んだの?って怒っているだろう。


 心臓がバクバクだ。なのにこれから、一時間以上漕ぐことになる。休憩は、ほぼ取っていない。休憩の憩という漢字を、見ずに書けるという人がどれくらいいるか、気になってきた。でも、そのアンケートも、休憩と同じで、取ってない。どうなるか心配だ。ちなみに、今の心臓のバクバクは、JKとの出会いが恋だから。ではなく、漕いだからだ。

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