#07 馬鹿な高校生⑥
馬鹿なミスをした。自転車に乗って、メモ出来ない状態で同行していた。男子高校生を心で、馬鹿にしていたことを反省した。馬鹿は僕だった。なんで、馬に鹿と書いて、バカと読むのか。そんなことも知らないで、バカバカ言っていたなんて、バカだ。たぶん、バカの【カ】が、力こぶの【力】になっていたって、気付かない。平然と受け流す。そんなバカだろう。
まだまだ、時間がかかるみたいだ。学校まで一時間以上あると、言っていたみたいだから。自転車は疲れる。自転車は疲れる。そればかり考えていた。こんなにも、脳内で自分のことばかり、考えている。自分の馬鹿さばかり、考えている。なのに、男子高校生の独り言が、脳に染み込んでいる感覚がある。天ぷらの【天】に、青二才の【才】と書いて、天才だ。僕は、まさに天才かもしれない。そして、バカだ。
途中に、コンビニに寄ると言ってきた。僕は急いで、今までの男子高校生の独り言を、スマホにメモった。コンビニという言葉を、脳内でリピートしていて気付いた。僕とこの男子高校生は、名コンビになれそうだと。噛み合っていないようで、本当に噛み合っていないけど。お互いを、実際に噛み合ったりはしない。そんな、いい関係になれると思う。
そういえば、男子高校生は校歌も歌っていた。それを全部、思い出せた。もう記憶力の人としてやっていっても、いいレベルだ。自分の母校の校歌は、1音も1単語も出てこないくせに。母校の名前も、母校にいた、咳払いが多すぎる先生の名前も、分からない。でも、男子高校生の校歌は、こうか?と、自慢できるほど、覚えていた。
コンビニを覗くと、レジで男子高校生が会計をしていた。財布の硬貨を、ずっと弄くっていた。新しい500円玉になったときは、側面が気持ちよすぎて、僕は何度も触っていた。一日中、触っていた。だけど、レジ前でそれをするなんて、バカだ。何がしたいのか、まったく分からない。レジュメって、なんだっけ。それを、なぜかずっと考えてしまっていた。
エナジードリンクを買っていた。男子高校生は、買ったエナジードリンクを、コンビニ前で飲んでいた。腰に手をあてて。とはいっても、わき腹に近いかもしれない。腰ではなかった場合、落ち込む。でも、あそこは腰骨に近いから腰か。
「生き返りました」
「生き返ったんですね」
頭がふわふわしている。校歌と硬貨が出てきた時点で、頭がふわふわしてきた。思考の能力が、かなり降下しているのがわかる。
自転車を飛ばして、何とか間に合った。ついに、学校に着いた。あれでギリギリなら、きつい。毎日、よくこんなに漕げるもんだ。夏は日差しが強すぎて、焦げるもんな。そんなことはいいとして、僕はここで暇潰しをする。帰りも記録じゃなくて、記憶をするか。忘れないうちに、頭に記憶したものを、スマホに記録だ。ボイスレコーダー便利説が、頭に浮かんだ。ものすごい、パワーで脳に居座っている。僕は、脳内の手みたいなもので、それをシャッシャと払った。