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#23 酒好き会社員②

 スーツの男性の依頼を、開始することになった。何も考えずに、とりあえず楽しむことが必要だ。何も考えたくないのに。開始という言葉から、怪死が思い浮かんでしまった。怪しく死ぬ。不謹慎だ。あれっ、台所のタオルのことは、何て言ったっけ。台所のタオルを新しくしないとな。新布巾にしないとなって思ってる。不均衡って、何て読むんだっけ。あれが、ふきんしんで。これはふきんとうだな。よし。お店を閉めて、言われていた居酒屋に行った。


 お店の前で、スーツで依頼者さんが待っていた。僕の中にある、前向きさは数粒だけだった。一歩ずつ一歩ずつ。しっかりと足を踏みしめて、近づいていこうとした。でも、なんか滑るように来てしまった。スーッて感じで、依頼者と合流してしまった。スーツダンディに、スーッと近づく。字面的には、いい感じだ。


 スマホを準備しながら、席に向かった。スマホとは、スマートホンのことである。ここで、ひとつの疑問が生じた。一般的には、スマートフォンが主流。略さない場合は、その呼び方が主流。なのに、なぜスマフォと訳さないのか。パーリーピーポー⇒パーティーピープルの略し方問題は、自分のなかで解決した。英語読みと、日本語読みの違いだと思うことにした。でも、スマホ略し問題は、迷宮入りしている。


 お酒が好きそうな人が、何人もいた。好きじゃない人は、ここに来ないか。いろんな業界の人が集まっている。そんな感じだろう。依頼者のオシャレな社長が、カッコいいから。他の人も、カッコいいかなと思っていた。その通りで、かっこよかった。ふたつのスマホは、準備した。スマートフォンと、スマイル保持。それは準備したから、大丈夫だ。


 席につくと、もう料理があった。刺身やら、唐揚げやら、焼き鳥やら、たくさん並んでいた。もう料理があったな。そう思った。『もう料理』と、頭のなかで思いすぎたせいか。毛量について、考えてしまっていた。僕の毛量はスゴい。ライオンも、会釈するくらいの毛量だ。また、違うことを考えてしまった。スマホを見る。やはり、書いてしまっていた。メモしてしまっていた。ライオンからの、会釈のくだりもだ。僕は、人工的な溜め息をした。


 依頼者さんの言葉を中心に、いろんな人の会話をメモした。意識高い系の、飲み会の気がした。でも、普通の飲み会だった。「美味しそうだね」とか「とりあえずビールで」とか「今日いい天気だったね」とか。誰でも言いそうなこと。それを、誰もが言いそうなトーンで喋っていた。「どなたですか?」「記録屋です」「ああ、何かのデパートですね?」「違います」【喜鹿屋】みたいなのではない。みんな知らない人。依頼者の社長も、今日初めて会った人だ。知らない人だが、話がかなり盛り上がった。


 聞かされていなかったみたいだ。誰も、知らされていなかったみたいだ。僕が今日来ることを。よく、色んなことを、ペラペラ話せたものだ。人間関係の生々しい話やら、人間関係の生々しい話やら。とにかく、生々しかった。メモはした。でも、頭のなかでは、スーツのこととかを考えていた。スーツとスーッは、ほぼ見た目が同じなのに。読むと全然違う。そんなことを考えてしまった。

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