表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/30

#21 カリスマブロガー⑩

 サングラスを着用した依頼者さんに、ありがとうと言われた。ようやく、ここまで来た。終わりだ終わりだ終わりだ。依頼者さんは、サングラス姿の方が似合っている気がした。僕は、ゴリラと同じように、今は真っ黒な格好をしている。だから、黒い服が黒いサングラスに、掻き消されないか。それが心配だった。僕の顔以外が、見えなくなっている。それは、あり得ること。僕が生首に見えていたら、すべての説得力が消える。だから、そう見えていないことを願った。


 一日目が終わった。特殊な感じだったけど、楽しかった。動物園の入場ゲートのような場所の外で、お別れとなった。カリスマブロガーさんは、普通になっていた。まるで、テレビのためにキャラを作っている、芸能人のようだった。カメラは回っていないが、メモがカメラ的役割の、カメラ的緊張を与えていたのかもしれない。オンオフが、しっかりしているのはいいことだ。でも、切り替えの瞬間が見えてしまったのは、ヤバかった。


 「今日のメモを、見せてほしいんだけど。確認のために」

「分かりました。少し見せます」

「ありがとうね。かなり気になって」

 スマホを渡して、確認をさせた。依頼者さんは、左手だけで、色々と操作していた。左利きなのかもしれない。でも、キリンの首の長さを測るときは、右手で測っていた。となると、測るときは右利き。スマホ操作は左利き。書くときは、また違うのだろうか。みんな、『キリン首ハカリ』のときは、利き手と反対の手を使うのかもしれない。使わなくなくなくないかもしれない。なくなくなくなく、とか使いすぎて、どっちなのか、分からなくなった。けどいい。


 サングラスをしていても、スマホのメモを普通に読めている感じだった。こんなんが、一週間あるんだ。一週間契約をしたから。この世の空気を全部吸い込んで、勢いよく元に戻したような。そんなため息をしていた。でも、依頼者さんの反応がいいから、耐えられた。反応がいいという言葉から、【飯能がいい】が出た。そんなことを、考えていた。次、旅行するなら飯能市がいい。埼玉県飯能市に行きたい。そう思ってしまった。


「スゴいね。スゴすぎるよね」

「ありがとうございます、どうも」

「言った言葉だけじゃなくて、豆知識とかも入れてくれて、ありがとう」

 満足はしてくれたみたいだ。満足度は、人の水分のパーセントを超えるくらいには、なっているだろう。これが、キュウリの水分を超えたとき、この仕事をやってよかったとなるだろう。


「一週間はいらないかな」

「あっ、記録がですか?」

「うん。面白さがもう、パンパンに詰まっている気がして」

「そうですか。では、今日で終わりですか?」

「うん。そうするよ」

 これが、素なのだろうか。最初と、印象が違う。雰囲気も、喋りも少し違う。別人かと思うくらいだ。これは予想なのだが、動物園でゴリラに、依頼者さんが手を伸ばす場面があった。そのときに、何らかの科学的反応が起こり、入れ替わったのかもしれない。そう思った。


 記録屋の仕事は、一週間する予定だった。でも、一日になった。それは、少し嬉しかった。でも、あんな面白い人の観察が、もうできないこと。あんなに、メモ甲斐のある人のメモが、もうできないこと。それは、かなり残念だった。最初は薄いかもと思った。でも、濃すぎた。濃すぎても困る。梅肉エキスは、濃縮で濃すぎて、少量で十分だ。それと同じだ。そりゃそうだ。あんなに内容の濃いメモが、一週間分もあったらもう。ブログが、生きてる間に終わらない。それくらい、書けてしまうだろうから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ