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#19 カリスマブロガー⑧

 この動物園には、ゴリラがいるらしい。今はまだ、ゾウの前にいる。これは長くなりそうだ。そう考えるだけで、ぞーっとする。ゾウだけに。今いる場所が、ゾウの前だけに。ゴリラのところにも、会いに行くのだろう。ゴリゴリに会いに行くのだろう。そう考えただけで、ぞーっとした。ゾウだけに。今いる場所が、ゾウの前だけに。


 なんか、鼻を触っている。依頼者さんが、ゾウと鼻を比べているみたいだ。自分の鼻と、ゾウの鼻の長さを比べても、何になるんだ。実際に比べたところで、特に変わらない。想像でも分かる。ゾウと依頼者さんの、どちらが華やかか。どちらが、華があるかでいうと、圧倒的に依頼者さんの方だ。でも、鼻が長いという意味で、鼻があるのは、ゾウだ。そうだ、ゾウだ。


 さっきから、考えているって多用してた。考えているって言葉を、たくさん使っている気がする。多用していたら、カンガルーのことを考えてしまった。カンガルーを考える。そんな、きっかけになってしまった。カンガルーが、見たくなってきた。えっと、ぴぴぷぷさんだ。ぴぴぷぷさんだ。依頼者は、ぴぴぷぷさんだ。時々、言わないと思い出せなくなる。


 カンガルーとワラビーが、この動物園にはいるらしい。寒ガールと書いて、サムガールと読む。そんな知り合いはいる。そのガールは、夏でも寒がる。扇風機の風が少しでも当たると、寒っ!てなる。そのガールのことは、もういい。それよりも、依頼者さんに集中すべきだ。寒ガールを、僕がどれだけ理解しているか。その理解度を10とすると、カンガルーは、1くらいだろう。


 依頼者さんは、止まったままだ。ずっとずっと、止まったままだった。だから、僕の腕も手も指も、止まったままだった。でも、突然ニヤけてきた。依頼者が口角をいっぱいに、持ち上げてきた。きっと、想像のなかで、ゾウの背中に乗ったのかもしれない。それで、光る浅瀬の水面とかを、優雅に歩いているのだろう。そんな想像ができた。ここに来てから、依頼者の想像力は増加しただろう。ゾウだけに。


 歩き出した。依頼者さんが、ゆっくりと歩き出した。それは、ゾウが背中に人を乗せて歩く、平均スピードくらいだった。現実と想像が、分からなくなってしまったのか。そう思ったが、口はウホウホの口になっていた。明らかに、ゾウを忘れて、ゴリラの脳になっていた。ゴリラは胸を叩くとき、グーではなくて、パーで叩いている。そんな情報を、スマホのメモに書き加えていた。


 そっちは、ゴリラがいる場所だ。ゴリラがいる方向だ。やっぱり、ゴリラに会いに行くつもりみたいだ。ゴリラという名前から、5リラが思い付いた。リラは、イタリアとかの、昔の貨幣単位だったかな。気が付いたら、依頼者が喋っていた。なんか物凄く早口で、色んなことを言っていた。なのに、すっかり記録のことを忘れていた。急いで、スマホに向かった。でも、スマホメモには、きっちり書かれていた。無意識に、指が動いていた。僕は、貧乏ゆすりの如く、メモ出来ちゃう人なのかもしれない。

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